ノーベル経済学賞の40年 (上)(下) トーマス・カリアー著/小坂恵理訳

Books Review

1969年の創設以来、43年間で71名の受賞者が選ばれたノーベル経済学賞。ノーベルの遺言で設立されたノーベル賞に、スウェーデン国立銀行の提案によって「前年に人類に最大の貢献をした経済学者をたたえる」として追加された賞である。受賞者のうち2009年までの64人について、その受賞理論を半生、人柄とともにたどっている。

一読して気づかされるのは、その選定に自由市場を提唱するシカゴ学派が好まれ、市場の限界に正面から取り組んだ学者は外されていることだ。よく知られた考え方や経済行動を数学モデルに置き換えたものも少なくない。過半の受賞者は新分野を創造し、高度なツールを応用しているが、現在の経済問題につながる洞察として残った成果は少ないようにも見える。貧困、金融危機、環境破壊、債務過剰といった重要なトピック関連はむしろ避けられており、20世紀後半の経済思想界の問題点を指摘した書ともなっている。

筑摩選書 各1890円

  

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電池開発でノーベル化学賞<br>吉野彰氏が示した「危機感」

受賞会見とともに、リチウムイオン電池の開発の歴史と当事者の労苦を振り返る。世界の先頭を走ってきた日本も、今後および次世代型の市場では優位性が脅かされつつある。吉野氏率いる全固体電池開発プロジェクトに巻き返しの期待がかかる。