インドネシア人実習生の受け入れ成功のコツ 中本製作所工場長に聞く
群馬県大泉町に、外国人技能実習制度でインドネシア人材を受け入れて、愛情を注ぎながらも企業として業績も上げている中小企業がある。電機関連のパイプを製造する株式会社中本製作所(社長:中本泰司)だ。受入れを開始した1998年当時は、100人に満たなかった同社だが、現在は160人。この10年、日本の電機産業は崩壊の一途をたどってきたが、同社の従業員は1.5倍に増加、十分な成功と言える。
「日本の技術力はすごいです」「日本に来て驚いたことは、ルールが厳しいこと。ペットボトルや缶、燃えるごみ、燃えないゴミを分けたり、ゴミの捨て方にびっくりしました」と、ニコニコしながら話すチャスワントさん(21歳・写真左)は、今月で同社での研修3年目を迎え、インドネシア人研修生18人のリーダーになったばかりだ。リーダーと言うものの、あどけなさが残り、生産効率よりも「今日の髪型が決まっているかどうか」が気になる、そんな雰囲気だ。
チャスワントさんが高校生の時、工業高校で3カ月間行われる企業実習で、インドネシアに進出した日系企業PT.Morita Tjokro Gearindoが実習先だったことが、日本に興味を持つ、きっかけだったという。その後、日本の外国人技能実習制度に応募して選抜をくぐり抜け、2年前、この中本製作所に”研修生として入社”した。
入社当時は、今後の夢について「警察官」と答えていたが、今は「帰国して、社長になりたいです」と夢は広がっている。さらに、一番楽しかったことを尋ねると、「最近、慰安旅行で一泊二日佐渡に行ったこと」という。インドネシア人研修生たちは、ここで伸び伸びと働いている。
外国人実習生受け入れを上手く行うコツは何か。鍵を握っているのは、同社工場長の塚田竹道氏(写真右)だ。90年代後半に5年間インドネシアに赴任経験があり、インドネシア人研修生を孫のように可愛がっているという同氏に、ネクストマーケット・リサーチの須貝信一代表が聞いた。
--外国人研修制度でインドネシア人実習生を受け入れたキッカケは?
以前に中国人研修生を受け入れたことがあったのですが、その頃は研修生制度がまだ確立されておらず、北京大学卒業というようなエリートが研修にきて面喰らったんです。当然、『我々は労働にきたんじゃない。技術を学びに、研修を受けにきたんだ』という態度で、プライドがあって現場で摩擦があって上手くいきませんでした。