インドネシア人実習生の受け入れ成功のコツ 中本製作所工場長に聞く
--やはり10年前と比べて研修生は変化しているのですね。
今の子は現代っ子になっています。日本に来る時の持ち物や服装から違います。10年前は、政治的発言が抑圧されたスハルト体制の雰囲気が残っていました。政治的なことは質問しても答えが戻ってきませんでした。今の子は、もう自由に何でも話します。
--98年から毎年6名、受け入れてきたということですが、トラブルや途中で帰国の例は?
素行不良で途中で帰国させたことが一度あります。タバコと酒を覚えて、他の研修生からお金を借りて返せなくなってしまい、帰国させたことがあります。それが一番大きなトラブルでした。
病気で途中帰国した人もいました。それとは関係ありませんが、皆、虫歯を持っていて、日本にいる間に虫歯を治します。実習生向けの社会保険では、虫歯は自己負担になるんですが、それでも日本にいる間に治療しようと喜んで10割負担で虫歯を治しにいくようです。
--虫歯の治療ですか。面白いですね。ところで一時帰国というのは出来ないものなのでしょうか?
研修中に母親が亡くなった研修生がいて、「どうするか、帰るか」と聞いたら「帰らない」とのことでした。何があっても一時帰国は禁止になっています。
--親が亡くなっても帰国しない。事前に了解していたとしても、研修制度のなかで最も厳しいルールといえるかもしれませんね。文化、風習的な問題は?
宗教の問題は大きいですね。5人に1人くらい意固地とも思える熱心な人がいます。1日5回お祈りする習慣がありますが、当社では、仕事優先にしてもらっています。それでも「日本人だって仕事中、トイレに行くんだからいいんじゃないか。仕事に支障はないはずだ」というような人がいます。私はインドネシアに赴任していたので理解は出来ますが、仕事優先を徹底してもらっています。