「独立しても成功できない人」に共通する経験 いつまでも誘いがないなら、会社を辞めるな

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そこで42/54は、自らが所属(?)する業界における特殊解(経験知)をなるべく一般解として再構築し、どの業界でも利用可能な粒度の小さいノウハウになるよう注意しながら執筆しているつもりである。

42/54的ゴールは二つあると考えていて、ひとつは「自分自身にもう一度退職金を支払う」こと(最初の退職金は以前そこそこ長い期間在籍した会社で支払われている)、そしてその先にある最後のゴールは、自分の死後、1億円程度の流動資産(現金や有価証券など)を家族のために残すことではないかと考えている。

しかし、筆者自身の会社経営もまだまだ試行錯誤の途中であり、「上場という、ビジネスプロセスの途中で発生する、誰にでもわかりやすいゴール」自体を否定している(上場がゴールというのがそもそも間違いだ)こともあり、「果たして自分のやってることが本当に正解(一般解)なのか」と言われれば、「死ぬまで解らないし(時代が変わるはずなので)死んでも解らない」というのが正直なところだ。

経営は仮説と検証を実験のように繰り返すわけにはいかないので、科学的記述と相性が悪いのは避けられない。

例えば「Aをやるとうまくいく」というノウハウがあったとしても、「ではあなたがやったことのないBはどうなの?」と聞かれると「それは(やったことがないので)判らない」としか言えない。ただし、「Cを経験したことのない人はたいてい失敗する」という理屈は、比較的汎用性が高いような気がする。以下、そのひとつのサンプル(仮説)を提示する。

小さな会社を経営している人に会うことが大事

あなたが起業を検討するときには、まず「顧客になる可能性が高い人」に打診する必要があるが、それに先立つ形で会っておいたほうがいい集団がいる。それは「すでに小さな会社を経営している友人や知り合い」である。

彼ら彼女らは、どんな苦労があるか、何で失敗したかなど、いろんなことを教えてくれると思うが、会う目的はそこにはない。自分の起業後の失敗確率を客観的に判断できる材料が、ここでひとつ出現するのだ。それは、その友人から「独立するの?じゃあ、私の会社手伝ってよ」と言われるか/言われないか、である。

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