もう一つ率直に言わせてもらうと、宗教色の強い革命後のイランは、決して幸福には見えません。1979年のイラン革命以来、宗教国家としての存在感を維持してきましたが、10年前からは核の保有国として米国による(表面的には国連による)経済制裁の対象国となりました。その結果、世界からは孤立し経済発展から見放されたのです。
有数の産油国であり、鉱物資源も豊富
イランは世界有数の石油産出国で、現状確認されている世界の石油埋蔵量の約1割を占めています。そのため、石油価格が安定しているときは、国家財政も安定していましたが油価が下がるとたいへん厳しくなります。米国のシェールガス、シェールオイルが原油市況を押し下げてきていますが、米国はロシアやイランやベネズエラなどの貿易制裁をしながら、石油需給をタイトにしないような輸出政策を取っているように見えます。
原油のコスト比較を考慮すると、イランはサウジアラビアの次にコスト競争力があります。経済制裁が終了すると世界市場に安値で供給されるので、その意味では、イランより石油や天然ガスのコストの高いロシア経済はしばらく厳しい時期が続く予見されます。
「イランにない地下資源はない」と言われるように、鉱物資源も豊富です。冒頭に記したように、レアメタル資源の調査のため訪問しましたが、非鉄金属からの副産品として発生するレアメタル資源では世界市場に影響を与えると思われます。イランでは68の鉱種(元素)と600億トンの推定鉱量が確認されています。銅、鉛、亜鉛、レアアース、クロム、マンガン、金、バライトについては世界市場に大きな影響力を持っています。
2016年3月にJOGMEC(石油天然ガス・金属鉱物資源機構)によるイラン鉱業投資ガイドが発表されたばかりですが、貿易制裁が解除されれば本格的な資源開発の動きが出てくる可能性が期待されます。
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