日本はアフリカの「おいしい」国から卒業を 単純な支援で中国と張り合っても意味がない

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2013年、横浜で開催された第5回アフリカ会議で会見する安倍首相(写真:AP/アフロ)

前回の記事でも紹介したが、アフリカ人が日本人と中国人を見分けるのは難しいらしく、「ニーハオ」と声をかけられることが増えた。「俺は日本人だ」と言うと急に態度が変わり、「日本人は大好きだ」と答えるアフリカ人が多い。ちょっと気になって話を聞いてみると、「中国人は嫌いだ」と本音を話し出す。そんなこともあり、今回は「アフリカにおける日本と中国の支援競争」をテーマにしたい。

世界銀行の報告によると、原油をはじめとする一次産品の価格急落が、2015年のアフリカ経済の成長低迷を招いた。また、中国の経済鈍化や、世界中で進行中の金融引き締めといった外的要因が、アフリカの経済動向を圧迫しているように見えた。

ところが56カ国すべての経済状況が悪いわけではない。たとえば、力強い成長を続ける国としてエチオピア、モザンビーク、ルワンダ、タンザニア、コートジボワールなどが挙げられる。これらの国は中国との関係が深いばかりでなく、エネルギーと運輸への投資、個人消費などに後押しされ、2016年は年間約7%かそれ以上の成長を維持すると予測されている。

日本主導「TICAD」と中国主導「FOCAC」

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中国のアフリカ進出は、勢いを落とすどころか、さらに活発になっている。資源分野にとどまらず、建築、交通・港湾・通信インフラなど幅広い領域に投資や支援を行っている。では、日本の対アフリカ外交やビジネスはどのような状況にあるのか。

かつて、政府開発援助(ODA)で最大の支援国だった日本だが、中国が本格参入してからは、まったく目立たなくなってしまった。それでも第5回アフリカ開発会議(TICAD、2013年)で安倍晋三首相が「5年間で官民合わせて最大3兆2000億円をアフリカ支援に出す」と表明したのを覚えている人もいるだろう。

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