日本はアフリカの「おいしい」国から卒業を 単純な支援で中国と張り合っても意味がない

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ここで考えたい。日本はバブル経済時代に、金銭支援をする習性がついてしまったが、博愛主義でボランティアをする時代は終わっている。アンタイドのODA(ひも付きのない見返りなしの国際協力)をみると、日本は97%に対してアメリカはわずか30%しかないと聞いた。ボランティアの本質は見返りなしの支援だが、長続きしなければ結局「死に金」になる。「これだけ見返りなしで資金援助しているのに」と訴えたとしても、海外諸国が日本を見る目は案外冷たいものである。

日本ならではの領域で、日本らしい貢献を

私は、これまでの支援や貢献の仕方を見直すべきだと主張したい。日本ができる「心のこもった国際貢献」はいくらでもある。たとえば「ABEイニシアティブ」が一例だ。これは安倍首相が第5回アフリカ会議で提唱した「アフリカの若者のための産業人材育成制度」のこと。5年間で1000人のアフリカの若者を日本の大学や大学院の教育の機会を与え、同時に日本企業のインターンシップの機会を提供するものである。懸け橋となる人材を作るのだ。

また、JICA(国際協力機構)の青年海外協力隊やシニア海外ボランティアの制度も日本らしい制度である。これまで88カ国、累計4万人近い隊員が海外に派遣されている。シニア海外ボランティアでも69カ国に5000人以上の隊員が派遣されている。

今回のアフリカ訪問でも青年海外協力隊の青年たちと意見交換をする機会があったが、彼らは2年から3年の海外勤務の間に、価値観や人生観をリセットするケースが多いという。私の会社では優先的に、彼らに門戸を開いている。しかし聞いてみると、帰国して就職しようとしても、一般的な経歴ではないからなのか、「変な目」で見られるらしい。このような経験を積んだ若者が職を得るのが難しい先進国など、ほかに考えられない。

インフラ援助などは、中国との国際入札に参加しても仕方ないと考えている。中国と日本は目指す方向が違う。経済合理性がない入札で競合しても真のアフリカ支援とはならない。あるいは、インフラ分野で日本に優位性があるのなら、中国と協力して推進してもよいとさえ思っている。

繰り返しになるが、何も日本が中国に対抗心を燃やす必要はない。人口も10倍違う中国と張り合ったところで目指すものが違う。日本には日本のやり方がいくらでもある。「先端技術・IT」「医療」「教育」「環境健康」など、長期的な視野で日本型の貢献ができる分野を選択したほうがよい。これが私の主張であり、信念である。

中村 繁夫 アドバンストマテリアルジャパン社長

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なかむら しげお / Shigeo Nakamura

レアメタル(希少金属)の専門商社「アドバンスト・マテリアル・ジャパン代表取締役社長。中堅商社・蝶理(現東レグループ)でレアメタルの輸入買い付けを30年間担当。2004年に日本初のレアメタル専門商社を設立。著書に『レアメタルハンター・中村繁夫のあなたの仕事を成功に導く「山師の兵法AtoZ」』(ウェッジ)、『レアメタル・パニック』(光文社ペーパーバックス)、『レアメタル超入門』(幻冬舎新書)などがある。

 

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