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立ちはだかる2強 苦しむスプリント

買収されるスプリントは、5期連続の赤字と不振をかこっており、以前から身売りのうわさが絶えなかった。米国では目下、携帯電話会社の再編が加速している。昨年、業界2位のAT&Tが4位のTモバイルUSAを390億ドルで買収すると発表したが、規制当局の反対によって断念した。今月3日には、TモバイルとメトロPCSコミュニケーションズが合併すると発表したばかりだ。

米国の携帯電話の契約数は3・5億と日本の2・5倍あるが、ベライゾン・コミュニケーションズ傘下のベライゾン・ワイヤレスとAT&Tの圧倒的な2強構造だ。両社の契約数は1億以上で、これはスプリントの2倍近い。

米国では日本以上に規模や資金力が物を言う。顧客獲得のためのマーケティングや基地局などへの設備投資はもちろんのこと、電波の獲得にもカネがかかる。日本では総務省が電波を割り当てているが、米国では高値をつけた事業者が落札するオークションが行われるからだ。

落札相場は高い。08年に行われた700メガヘルツ帯のオークションでは、全米をほぼカバーする周波数帯を獲得したベライゾンの落札額は93億ドル。資金力に富む事業者が強くなり、乏しい者はますます弱くなる世界だ。このため、生き残りを懸けた再編が繰り広げられてきた。

スプリントとネクステルが04年に合併して誕生した現在のスプリント・ネクステルもその一つ。ただ、両社が採用していた通信規格が異なっていたことなどから、思うようなシナジーが発揮できていない。米国の通信事情に詳しい情報通信総合研究所の岸田重行主任研究員は、「スプリントの設備投資は上位2強から2年遅れているイメージ。ネットワークの質、ブランド力の面でも遠く及ばない」と話す。

米国の通信方式は今後、日本と同様に、現在主流の第3世代(3G)から次世代高速通信「LTE」(オンライン記事8ページ上段)へと移行する。3Gでは、ベライゾンとスプリントがCDMA2000、AT&TとTモバイルがW−CDMAと別の通信規格を使っていたが、LTEでは4社とも同じ規格になる。「技術の優劣がなくなり、設備投資などでますます体力勝負になる」(岸田氏)。

スプリントは旧ネクステルの契約者のスプリントのネットワークへの移行や今年7月から開始したLTEを強化している。それらの投資が重く、13年まで業績は厳しい。

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