波紋を呼ぶ「少数派」しか世界を変えられない 出口氏と同性婚カップルが語る「真実」

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出口:面白い話があるのですが、文学者のバーナード・ショーは「少数派しか世界を変えることはできない」と言っています。どういうことかと言うと、賢い人はその場の空気を読んで、すぐに周りにうまく合わせることができるし、考えない人はそもそも何も変えようとしない。ところが少数派の人やちょっと賢くない人は空気を読めないので、自分の信じていることをひたすら言い続ける。だから彼は、少数派しか世界を変えられない、と言っているのです。

:おもしろい! 私、空気読まないですよ!

増原:読まないんじゃなくて、読めないんでしょ(笑)。

:読めないですね(笑)。ディズニーで結婚式したいと思ったらしたい。誰もやったことがなくても、私がしたいと思ったらしたいんです。あそこでドレス着て結婚式したいと思ったら、できなくても前例がなくても、したい。そう思ってしまいます。

増原:役割分担なんですよね。私が調整役(笑)。

さまざまなマイノリティ

出口:世の中には、性的マイノリティだけではなく、さまざまなマイノリティが存在していると思います。お二人は、ほかにどのようなマイノリティがあると思いますか? あるいは、お二人の考える理想の社会とはどのような社会ですか?

:私はLGBTの課題は、LGBTだけの課題ではないと思っています。マイノリティが生きやすい社会は、マジョリティも生きやすい社会だと思うし、どちらに課題があるのかを答えるのは難しい。家族の形や結婚を考えたときに、LGBTを知ることで、マジョリティの人も「自分らしくていいんだ」「結婚して子どもを産むのが当たり前じゃなくていいんだ」と、楽になってもらえたらいいなと思っています。私たちは、なにか特別な権利がほしいのではなく、みんなが生きやすい社会になってほしいだけです。

増原:私は、まだまだ女性の生きづらさが残っていると思います。少子化なのに保育園の待機児童の問題もあるし、数では半分いるはずの女性がこんなにも生きづらい。この問題を解消すれば、日本の生産性や幸福度はだいぶ上がるはずです。私たちは、女性という視点も持っているので、LGBTと女性の両方の視点から、両方の課題を解消していきたい。

出口:女性の地位の問題は重要ですね。日本は男女平等ランキングでは、145カ国中101位というとんでもない状況ですからね。

:私が悲しいのは、日本の若い女性たちが、「私たちは女性差別を受けているとは思っていない」と言っていることなんです。「今は女性が生きづらい」「変えていかなければいけない」「自分の生き方は自分自身で決めていい」ということを女性にこそ、もう一度自覚してほしいです。

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