波紋を呼ぶ「少数派」しか世界を変えられない 出口氏と同性婚カップルが語る「真実」
増原:やっぱり数字やデータがあるだけで、腑に落ち方が変わってきますよね。
デマには数字・ファクトで対処する
出口:とはいえ、どれだけ数字やファクトを示しても、世の中にはLBGTのことを理解できないという人もいると思います。そのような人たちに対しては、お二人はどのように接したらいいとお考えですか?
増原:残念ながら100人いたら、その約5%は新しい考え方を受け入れられない人たちだと思います。でも、そこを無理して変えようとは思っていません。一方で、全体の8割は無関心です。そういう人たちには、まず知っていただく。そして知って関心を持ってもらえれば、LGBTや性的マイノリティを差別する正当な理由がないということをわかっていただけるはずです。だから、無関心の人たちに知ってもらうことが大事なのかな、と思っています。
出口:本当にそうですね。何事でも絶対に受け入れてくれない人はいますから。でも、その他大勢の人たちは、知らないからデマに流されてしまう。だからこそ、「これは間違っています。なぜなら私たちはこういうデータを持っているから」と数字やファクトをオープンにして、粘り強く言い続けるしかありません。
増原:受け入れない人や反対する人は、何かに恐怖を感じている場合も多いので、それをいかに取り除いてあげるかも大切ですね。たとえば、同性婚の反対意見として「(同性婚が)認められたら少子化が進む」と言われていますが、それは事実ではないです。でもそれを理解してもらうためには、「事実じゃないんだよ」と言い続けないといけないと思うし、マイノリティもマジョリティも、実は利害が一致していると説明してあげれば、賛成派も増えるのではないかなと思っています。
出口:そもそも人間はそれぞれがいろいろな側面を持っていますので、私たち誰もが、ある分野ではマイノリティで、ある分野ではマジョリティなのです。
東:本当に。みんなそうなんですよね。
出口:1人の人間がすべての生き方や趣味においてマジョリティであることなんて、あり得ない。結局、切り方の問題です。「誰でもマイノリティになるし、誰でもマジョリティになる」というのが人間の社会ですから。ある一面でマイノリティが住みにくい社会は、結局みんなが住みにくい社会だと思います。