有馬:今の日本は、成熟化していることもありますが、高度成長時代と違って目標を設定するのも難しくなり、何か所在がありません。政治もマスコミも小さな話ばかり追いかけています。今回、政調会長に抜擢されましたが、民進党として民主党時代の失敗を乗り越え、「この国をこうやってよくしたい」という方針はありますか。
山尾:あります。民主党時代に残念だったのは、いろいろな政治家が個人のメッセージを打ち出し過ぎ、党としてのメッセージがまとまりにくかったことです。自民党は「右向け右」で、そこにはメリットもデメリットもあるかもしれませんが、「ワンボイス」でまとまっています。いま民進党がしなくてはいけないのは、いい意味で「ワンボイス」でまとめて行くことだと思います。
その意味で今回、民進党は新しい船出にあたって、結党宣言で「自由」「共生」「未来への責任」という3つの理念を掲げましたが、私はこうした理念も含め、民進党が掲げる政策を国民の皆さんにお話しする「通訳」になりたい。
3つの理念について、ぜひお話をさせていただきたいと思います。まず自由とは、安倍総理が国会でヤジを飛ばしたり、メディアを規制したり、憲法を勝手に解釈する自由ではありません。本来の自由とは、国家から国民の自由を守ることです。そのルールブックが憲法です。こうした当たり前のことを大きな声で言わないといけないほど、今の自民党政治は古いのですが、今はいちばん大事なものとして掲げます。もちろん、憲法改正について議論をしていくことはまったく否定するものではありません。
アベノミクスは金持ちを大金持ちにしただけ
有馬:なるほど。2つめの「共生」ですが、イメージがわきにくいし、古い言葉ですね。「強制」という音にも聞こえます。たとえば、今、自民党が打ち出している「一億総活躍社会」は、無理な話にも聞こえますが、「みんなが輝く」という意味で、「使い方によってはやっぱり悪くない」と言う議員もいます。よく言われる「格差是正」にしても、「強制的」にならすようなニュアンスがとうしてもありますね。「共生」だけでは、国民にうまく通じないのではありませんか?
山尾:共生については2つ申し上げたいことがあります。ひとつはアベノミクスについてです。アベノミクスはお金持ちを大金持ちにしましたが、実質所得は民主党政権時代より減少しました。
その意味で、衆議院の北海道5区の補欠選挙(4月24日投開票)の立候補者である池田まきさんの「普通の人から豊かになろう」はすごくいいキャッチフレーズだと思います。民進党は家計の消費を温めるような政策を実行し、普通の人から豊かになるという意味で、スタート地点が自民党とまったく違うことをわかりやすく言っていきたい。
無料会員登録はこちら
ログインはこちら