急増する「児童虐待」、根因はどこにあるのか 日本は「子ども受難」の少子化社会だった

拡大
縮小
児童虐待が増えているのは、なぜだろうか(撮影:今井康一)

いま、この国では児童虐待が急増している。

警察庁生活安全局少年課の発表によると、2015年1月から12月までの児童虐待事件の検挙件数は785件で、前年より87件も増加した(12.5%増)。検挙人員数も同92人増(12.8%増)の811人で、被害児童数は同99人増(14%増)の807人に上っている。また警察から児童相談所に通告した児童数は3万7020人と、いずれも過去最悪を記録した。

その原因として、同年7月から児童相談所共通ダイヤル「189」の全国的運用が始まり、通報件数が増えたことなどが考えられる。また2013年8月に「子ども虐待対応の手引き」が改正されて、心理的虐待の例示に「きょうだいに対する虐待」が追加されたことで、2014年度の児童相談所の虐待相談対応件数が8万8931件(速報値)と、前年度より1万5129件も増加している。

それでも氷山の一角に過ぎない

「しかしこれらは氷山の一角にすぎない。被害者は幼いために物言えぬ子どもたち。実態はもっと多いと思う」。民進党の林久美子参院議員はこう述べる。林氏は無戸籍児問題、不登校児問題など子どもの権利問題に取り組んできたが、いまもっとも関心を寄せるのが、子どもの虐待問題だ。

中でも、一番被害を受けている子どもの年齢はゼロ歳ゼロカ月だ。

次ページビル内のトイレに女児の遺体
関連記事
トピックボードAD
政治・経済の人気記事
トレンドライブラリーAD
連載一覧
連載一覧はこちら
人気の動画
日本の「パワー半導体」に一石投じる新会社の誕生
日本の「パワー半導体」に一石投じる新会社の誕生
TSUTAYAも大量閉店、CCCに起きている地殻変動
TSUTAYAも大量閉店、CCCに起きている地殻変動
【田内学×後藤達也】新興国化する日本、プロの「新NISA」観
【田内学×後藤達也】新興国化する日本、プロの「新NISA」観
【浪人で人生変わった】30歳から東大受験・浪人で逆転合格!その壮絶半生から得た学び
【浪人で人生変わった】30歳から東大受験・浪人で逆転合格!その壮絶半生から得た学び
アクセスランキング
  • 1時間
  • 24時間
  • 週間
  • 月間
  • シェア
会員記事アクセスランキング
  • 1時間
  • 24時間
  • 週間
  • 月間
トレンドウォッチAD
東洋経済education×ICT