「赴任先について来ない妻」と離婚できますか 正当な理由があれば、義務違反にならないが
家族と離れ、ひとり遠くの土地へ……「単身赴任」の経験者からは、「さみしくて精神崩壊しそうだった」などの声がネット上で散見されます。
いずれ家族と同居できると思えば、さみしさも我慢できるかもしれません。ただ、同居する家族にも、同行できない様々な事情があります。
弁護士ドットコムの法律相談コーナーに相談を寄せたある男性は「いつまでたっても妻が赴任先にこない」と嘆いています。「5年前から地方に単身赴任している」という男性。赴任当初、妻は「1年後にそっちに行く」と言っていたそうですが、「仕事を辞められない」などと理由をつけ、結局、単身赴任生活は5年も続いているそうです。
その別居に「正当な理由」はあるか?
妻も働いており、男性の転勤生活が何年続くかも不明なため、妻側にも言い分はありそうです。しかし、男性は「夫婦を続ける意味が分からない。このまま別居が続くなら、離婚も考えたい」とまで考えるようになりました。
離婚の話し合いが夫婦間でまとまらない場合、調停、裁判で決着をつけることになります。夫の単身赴任先に妻がついてこないという理由で、離婚が認められる可能性はあるのでしょうか? 澤藤亮介弁護士に詳細な解説をしていただきました。
A.「正当な理由」がない別居は、離婚理由にあたる可能性あり
夫婦には同居義務があると法律に明記され、協力義務や扶助義務とともに夫婦が負うべき義務とされています。それらの義務の中でも同居は、結婚生活における本質的な要素と考えられています。