「PDCAですべてを解決できる」は大きな幻想だ ホンダで神髄を掴んだ男が明かす問題解決法

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本当の意味で最速、最短で問題を解決し目標達成をするには、「そもそも」その問題を解決すべきなのか、「そもそも」そのことに取り組む必要があるのか。どの問題を重視すべきなのか、という「ゼロの視点」から考えなければならないのです。

「モグラたたき」の事例

例えば、このような事例があります。

ある経営者が会社の他部署との連携や人間関係、コミュニケーションに問題を抱え、改善をしたいと社員でレクレーションを行ったり、社員とのコミュニケーションを密にとったりしていました。PDCAでいえば「P」と「D」です。

しかし、いずれも一時期の効果で終わります。一定期間が経過すると、また同じような問題が生じるため検証して、定期的に企画を修正したり、役割分担を決めたり、より豪華な社員旅行を企画したり改善を繰り返します。つまり、「C」「A」です。

このPDCAサイクルを繰り返し、なんとか社内の人間関係をよくしたいと改善を繰り返しましたが、これがまさに「モグラたたき」です。やってもやっても、結局、同じ問題が起きて、役割分担のなすりつけ合いが始まります。豪華な社員旅行への参加も面倒くさがられ、なんと社員の6割が不参加だったそうです。「社員旅行に使うくらいならその分、給料が欲しい」などという社員も現れる始末。それを聞いた社長は怒り心頭に発し、「こんなにお金を使っても伝わらないのであれば、もうレクレーションも社員旅行も中止だ!」とすべてを投げ出してしまいました。

そこで、相談を受けた私は、「それは本当に問題ですか? それを改善して本当に会社の未来につながるのですか?」と質問をしました。ここで、考えなければならないのは、「そもそも」社員の人間関係を改善するというテーマが正しかったのか? ということです。これは「ラストプロブレム」だったのかということに目を向けなければなりません。

この経営者は、「売り上げを向上させるために社内の連携を強め、社員のモチベーションを高めよう」と思っていました。それに対するアプローチは的外れでした。つまり、会社のラストプロブレムは「売り上げを高める」という根本問題。その手段やプランが見つからず、設備投資もできないため社員のモチベーションを高めて業務効率を向上させようと試みた格好です。実際に現場では、売り上げが増えないのに仕事が多い→給料が少ない→モチベーションが高まらない→他責や不満の発生、という悪循環を生んでいたのです。

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