気仙沼市を揺るがす巨大海岸堤防計画、被災地住民を翻弄

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硬直的な知事の姿勢 計画撤回求める声も

気仙沼市内では、巨大堤防計画を危惧する住民有志が「防潮堤を勉強する会」を発足させ、8月8日の初回を皮切りに、9月14日までに9回にわたって会合を開催してきた。勉強会の発起人で事務局を務める清酒醸造業の菅原昭彦さんは、「賛成・反対の議論の場ではないことを踏まえつつ、納得のいく町づくりのためのベースを提供したい」と会を発足させた狙いを説明する。

菅原さんらがハイペースで勉強会を重ねているのには事情がある。

「被災市街地復興特別措置法」に基づく中心市街地(内湾地区)の都市計画決定の期限が2013年3月10日に迫っているためだ。それまでに堤防建設のあり方について地域で合意ができていなければ、町づくりが頓挫しかねない。そこから逆算すると、堤防の高さや場所が10月ごろまでに固まらなければ町づくりプランの策定が間に合わなくなるともいわれている。ただ、現在のままでは、直立式の高い堤防で中心市街地が囲まれる事態になりかねない。

ほかの地区では、内湾地区ほどスケジュールは切迫していないものの、どの地域でも堤防の高さが先に示される一方で、町づくりの青写真作成は後回しの状態だ。

堤防の高さについて、県が頑として変更の可能性を示していないことも、反発を招く原因となっている。

6月29日の宮城県議会予算総括質疑で、地元選出で与党の畠山和純議員が村井嘉浩知事に迫った。

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