気仙沼市を揺るがす巨大海岸堤防計画、被災地住民を翻弄

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下写真は、宮城県が作成した気仙沼港の護岸復旧のイメージ写真だ。ここではT.P.+7・2メートルの直立式の堤防建設が計画されている。上写真の気仙沼漁港、唐桑半島西部に位置する鮪立漁港でも、それぞれ同5・0~7・2メートル、9・9メートルの直立式堤防が港を囲う形になる。

一方、砂浜の美しさから、震災前に海水浴場が「快水浴場100選」の「特選」(全国2位)に選ばれた大島の小田ノ浜(写真の下段右)では、当初、4・3メートルの高さの原型復旧にとどめる計画だった。それが、ほかの地域と規格をそろえたことにより、高さはT.P.+11・8メートル、幅約60メートルという巨大堤防の建設計画に急きょ切り替わった。

しかし、白砂青松の砂浜を破壊しかねないこの計画は地域住民の合意を得ておらず、事業主体である宮城県気仙沼地方振興事務所の担当者自身が実現を危ぶんでいるほどだ。

大島で石油製品販売業を営む熊谷雅裕さんは、「堤防が建設されれば砂浜や磯は破壊され、生態系が台なしになる。旅館や民宿も廃業に追い込まれる」と危機感を抱く。


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