「安倍政権の問題点」、蓮舫氏がすべて語った 「安倍首相はSNS世代を理解していない」

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有馬:最後に6月19日からは18歳選挙権が施行となりますが、SNS世代の若い読者にも。民進党は、徴兵制は実施しませんね。

蓮舫:しません。

政治は国政だけではない、むしろ足元を見て

「もし安倍総理が、本当に自衛隊が他国に行って、軍事力を行使するのが正義だ、というのなら、堂々とそうしたCMを打つべき」

有馬:2014年にはAKB48が、2015年には壇密が自衛官募集のCMに登場するなど、政府はタレントを使ってのイメージ戦略も駆使しているように見えます。

蓮舫:安倍総理はきっと、自らの正当化に必死なんだと思います。藤井裕久さん(元民主党最高顧問)がおっしゃっていましたが、「安倍さんはさきの戦争にノスタルジーを感じているのかもしれないが、戦争にはいい戦争も悪い戦争もなく、ただ『死』があるだけだよ」と。この言葉は重い。もし安倍総理が、本当に自衛隊が他国に行って、軍事力を行使するのが正義だ、というのなら、堂々とそうしたCMを打つべきです。一見、洗練された形で宣伝を打っても、その嘘くささは自衛隊の皆さんが一番わかっている。防衛大学校生の任官拒否数(2015年度は47人と前年度の25人からほぼ倍増)を見ても、それは明らかです。東日本大震災などの経験からもわかるように、国民は自衛隊が日本を守ってくれるということをよくわかっています。だから絶対に嘘をついてはいけない。

20歳の人もそうですけど、はじめて18歳、19歳で選挙権を持つ方々は、
自分の中では、与えられたものという意識が強いかもしれません。もし、選挙を軽く考えて、「棄権してもいいや」、と考えているとしたらとても残念。私たちは、時間をかけて重要性を訴えて行くしかない。自分の頭で国民ひとりひとりがしっかり考えないといけません。

政治は、何も国会だけじゃないんです。学校の統廃合などがいま当たり前のように身近に起きていますが、これらは市町村議会で決まるように、むしろ自分たちの足元の政治をしっかりみないといけない。

有馬:今や県会議員レベルでも、約3割が無投票当選です。2014年に政務活動費の問題について問われ、号泣した兵庫の元県議ではありませんが、地方の政治は劣化が激しいですね。

蓮舫:民主党時代、地域の要望に応じて、地方交付税交付金を一括して渡したことは、決して間違ってはいませんでした。しかし、問題はそこからでした。都道府県議会や市町村議会は、まだまだ自民党が強い。旧態依然とした議会が多く、交付金はうまく使われず、従来型の予算消化に終わったところも多かったのです。また、どんなに国が「地方のため」と言っても、現場からは遠いのですから、やはり限界があります。

市町村議会の中には、いまだに前年踏襲の議会運営をしていたりするところが少なくありません。条例一つつくれない、あるいはネットのHPがいまだに静止画像だったりするような地方議会など、ないほうがましです。

民進党は、自民党に比べて地方組織が弱いのがなお課題ですが、日本の未来を明るくするためにも、地方議会のお金の使い方に監視の目を入れ、機能させるように頑張っていきます。読者の方々一人一人にも、この政治の構造をぜひわかっていただきたい。

【有馬の目】「いつも怒ってる」印象の蓮舫さん。憂える現状を打破したいとの懸命な姿でしょうが、それでも気になる。長年の野党暮らしのせいかもしれない。怒りを理想に置き変え、国民目線の国の形を示していくことを期待します。自民政治に不満を持つ国民は多い。蓮舫時代を築くチャンスありと見た。

(構成:福井 純、写真:尾形 文繁) 

有馬 晴海 政治評論家

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ありま はるみ

1958年 長崎県佐世保市生まれ。立教大学経済学部卒業。リクルート社勤務などを経て、国会議員秘書となる。1996年より評論家として独立し、テレビ、新聞、雑誌等での政治評論を中心に講演活動を行う。政界に豊富な人脈を持ち、長年にわたる永田町取材の経験に基づく、優れた分析力と歯切れのよさには定評がある。ポスト小泉レースで用いられた造語「麻垣康三」の発案者。政策立案能力のある国会議員と意見交換しながら政治問題に取り組む一方で、政治の勉強会「隗始(かいし)塾」を主宰し、国民にわかりやすい政治を実践している。主な著書に「有馬理論」(双葉社)、「日本一早い平成史(1989~2009)」(共著・ゴマブックス)「永田町のNewパワーランキング100」(薫風社)、「政治家の禊(みそぎ)」(近代文芸社)など。

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