蓮舫:ネットに対する可能性や希望を見出したのも、この時です。理化学研究所の「次世代スーパーコンピューティング技術の推進」に関する事業仕分けの件のことは覚えておられる読者の方も多いと思います。同研究所はのちに「スタップ細胞問題」で大きな事件を引き起こしたわけですが、このときは、いわゆる「2位じゃだめなんでしょうか?」発言で、大きな批判にさらされました。
この発言は「世界1位の夢を否定するものではない。だが、すでに予算を超過しているプロジェクトに、さらに700億円を投じるのだから、本当にこの額が必要なのかどうかを詳しく教えてほしい」という文脈の中で、出てきた言葉です。マスコミに長く籍を置いていたので、こうした発言はともすると、短く切り取られ、まったく違う意味に解釈されて独り歩きしやすいのは想像できましたが、案の定そうなってしまった。
このとき、ノーベル賞受賞者など、研究所を擁護する側に回った方々は、私の知る限り、誰一人として議事録を読んでいませんでした。一方で、津田大介さんなど、ネット評論を中心に活躍している方々などは、最初から最後まで発言を読んだうえで、問題のない自然なやりとりだと言ってくれました。このとき、時間や誌面の都合ですべてが伝わらないこともある既存メディアよりも、前後関係がわかるネットのほうが正しい情報を伝えられる、と思ったのです。
政治で女子力を使うことは、「私が私でなくなること」
有馬:なぜ蓮舫さんが群れずに、常に毅然とした態度をとっているのかがようやくわかった気がします。実は、ちょっと前に蓮舫さんも出ていた、ある「女子会」の参加者に聞いたのですが、「蓮舫さんは冷たいイメージがあるけど、実は人懐っこく、面倒見も抜群だ」と。だったら、「女子力」というか、そういう部分も出して、もっとファンを増やせばいいのに、と思うのですが。
蓮舫:世間から相当「冷たい女だ」「嫌な女だ」と見られているのはわかっているし、私にも実際そうした側面があるのかもしれません。でも、無駄に群れたり、愛想笑いを浮かべたりするのは無理。媚びているようにみられるのは、私にとって屈辱です。できれば頑張っているところも見せず、「ピン」としていたい。
女性議員として、いわゆる「女子力」を使って、女子に与えられそうなポジションを取りに行くのは、ある意味では楽なことです。でも、それでは私が私ではなくなってしまいます。
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