資産運用ビジネスはAIの進化でどう変わるか いずれ「AI同士」の戦いが起こるかもしれない

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藤野:だから、大事なのは、その処理能力が人間を上回るかどうかだと思うのです。もちろん新たな事象に直面した時の処理は、人間にも同等のことが起きるのですが、人間の処理能力が機械の処理能力を上回っていれば、人間は機械に勝てます。

でも、逆に機械の処理能力が人間の処理能力を上回ってしまったら、これは結構、恐ろしいことになると思います。だから正直、AIに対しては楽観的ではありません。なぜアルファ碁が人間に勝てたのか。それは巨大なサーバーがあったからです。しかも、囲碁でAIが人間に勝つには10年かかると言われていたのが半年前。でも、わずか半年で勝てたわけです。それは、それだけのコンピュータを持っていたからです。

AIの未来を予見した手塚治虫「火の鳥」

あと10年経った時、本当に人間はAIに勝てるのか。普通の経営者99人に比べて、AIが優れた経営判断を下せる時代になると、いろいろな分野でAIを使わざるをえなくなるし、いずれAI同士の戦いになってくるでしょう。手塚治虫の漫画に「火の鳥」ってあるじゃないですか。あれ、世界がAIの支配によって5つの都市に併合されていくんですよ。で、5つの都市にある、それぞれのAIが神として奉られ、AIの言うとおりに政治が行われるのですが、お互いに疑心暗鬼に陥り、「あの都市は、うちを攻撃する」という判断を4つの都市のAIが同時に下したため、同時に攻撃が始まり、全滅してしまうのです。

中野:それ、AIの未来を予見しているじゃないですか。手塚治虫ってすごいですね。

藤野:すごいんですよ。これ「未来編」のストーリーなのですが、初出は何と1967年ですからね。ちなみに、この未来編にはムーピーという不定型宇宙生物が出てくるのですが、このムーピーと一緒にいれば、自分で実体験しなくても、バーチャルに体験できるので、人間は何もしなくなり、堕落するという話もあります。これ、今の時代で言う、バーチャルリアリティの世界観と似ています。

渋澤:映画のマトリックスも同じ。

藤野:ターミネーターでも、スカイネットというコンピュータの総体が反乱を起こし、人間を殺戮するという話がありますが、最適解で自由にコンピュータに計算させて、完全に美しい世界観を創ろうと思ったら、人間が邪魔になると、ホーキング博士は言っていますし、著名起業家のイーロン・マスクはAIの進化が怖いので、法律で規制するべきだと言っています。こうしたAIの進化に加えて、グーグルが開発しているような完全自動操縦ロボットが出てくると、その裏では軍事利用が考えられます。その時、AIによって支配されたロボット兵士は、誰を敵と認識するのかという難しい問題もありますよね。

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