「日本に来てから、家族と一緒に毎日7~8キロは歩いているって言うと、みなさん驚くんですよね。日本の人たちって、交通が発達しているから、ほとんど歩かないんでしょうか?」
欧州では、サッカーをはじめとする数万人の観衆が集まるイベントが頻繁に行われている。ヤンソンさんもサッカーファンの一人で、けっこうあちこちのスタジアムに観戦に行っているという。
「私も息子にとっても、観戦の時にどこかの駅から30分とか45分とか歩いてスタジアムに行くことは日常的なこと。試合後、スタジアムの最寄駅が混み合う時は、隣の駅までさらに数キロ歩くのも当たり前」と語るヤンソンさん。日ごろのこういった「習慣」が東京でも役に立ったというわけだ。
電車には乗らずに歩く
試しに「東京ではオリンピックが開かれるんですが、例えば国立競技場での観戦のあと、どこまで歩きますか?」と地図を見せて質問してみた。息子さんとオランダ語でやり取りをした上で、「地下鉄の駅が混んだりするだろうから、私なら会場から新宿まで(約2.5キロ)は歩くんじゃないかな?」とこともなげに言っていた。普通の日本人に同じ質問をしたらどういう答えが返ってくるだろうか。
「もっとも、さすがに全部歩き、というわけにも行かなくて、ラッシュアワーを外して電車にも乗ったんですけどね」と語りながらも、あの「満員電車による方針変更のおかげ」で日本をより深く知ることができた、と満足感を示していた。
今回話を聞かせてくれたヤンソンさんのように、観光スポットを巡らず、徒歩中心の街歩きでも大きな充実感を得る訪日客がいる。日本人の暮らしでは想像できないほど、日々長い距離を歩き、そこから新しい発見を得ようとする外国人旅行者たちがいる。身近な場所でこういった旅行者がいたら温かく見守ることにしたい。
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