1985年9月、山手線にデビュー。2002年9月、南武線に転属。2015年4月、廃車ののち、インドネシアへ輸送。現在はジャカルタの郊外電車「KRLジャボタベック」で運行中……これが、筆者がこの年末、インドネシアで乗った元「クハ205-19」の生い立ちだ。
ネット上ではこのほど「インドネシアに向かう南武線車両」の話題でにぎわった。沿線の子どもたちが描いた絵が吊るされたまま現地に輸送されるという粋な計らいには惹かれたが、それに加え、この電車・205系が南武線を離れる最後の日となった昨年12月6日、担当車掌が「お降りの際は思い出もお持ち帰りを」とアナウンスしたというエピソードは多くの人々の共感を得たようだ。
さて、ジャカルタに渡った日本製中古車両は現地でどのように親しまれているのだろうか。ざっと現状をお伝えしたい。
主要路線は205系が席巻
「KRLジャボタベック」は、ジャカルタ市内とその周辺を結ぶ通勤・通学路線で、ジャカルタ首都圏鉄道、という訳語でも呼ばれる。現在使われている車両は大半が日本の首都圏から運ばれたものだ。
全長は184.3キロメートル(支線を含む)。うち、ジャカルタ市内区間の8.7キロは1993年、日本の円借款により敷設されたもので、高架や駅の雰囲気は日本の鉄道の面影を強く感じる。
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