「KRLジャボタベック」のルートマップを見ると、ジャカルタ市内を1路線が縦断、別の路線が環状に街を取り囲んでいる。しかし、せっかく電車が走っているのに、これを街の移動手段として利用している在留邦人はほとんどいないようだ。
現地の日本語情報紙「ライフネシア」の三好辰也社長は「南武線のエピソードをネットの報道で見て、ジャカルタに電車が走っていることを初めて知った在住日本人もいたようだ」と現状を語る。
街の人々も不満を持っている。「切符を買うのにいつでも長時間並ばされる。そんな電車になんて乗りたくない」と話しており、せっかくの大量輸送手段が十分に利用されていない様子がうかがえる。
「ドアがきちんと閉まる電車」のすばらしさ
もっとも運行会社から見れば「客から運賃がきちんと取れるようになったのは最近のこと」なのだという。「ドアがきちんと閉まる」日本からの中古車両を導入を進めた結果、屋根に乗ったり、駅のないところで乗り降りしたりする「乗客」がようやくいなくなった、ということらしい。
「KRLジャボタベック」には現在、205系のほか、東京メトロ千代田線などを走っていた営団6000系、東急電鉄の8000系や8500系などの姿が見られる。かつて桜木町駅で塀越しとはいえ並んで出発を待っていた東急東横線と横浜線の電車が、赤道を越えたインドネシアで再び相見えるとは奇妙な運命ではないだろうか。
日本の中古車両たちの第二の人生となるジャカルタでのさらなる活躍を期待したい。
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