「山手線の兄弟」がタイで勝ち取った"果実" これがニッポンの鉄道産業が進むべき道だ

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横浜港で船積みを待つ「パープルライン」の車両。2編成6両の積み込み作業は1日がかりで行われた(撮影:尾形文繁)

海外への船積みを待つ真新しい乗用車がズラリと並ぶ横浜港の大黒埠頭に、見慣れない紫色の鉄道車両が鎮座していた。丸紅・東芝・JR東日本が共同で受注した、タイ・バンコクの都市鉄道路線「パープルライン」に納入される車両だ。

9月7日午前9時30分、2編成6両の船積みが始まった。貨物船に設置された大型クレーンで1両ずつ引き上げ、船内に運び入れる。航海中に船の揺れで車両が動かないよう、車体はワイヤーでしっかりと固定される。昼までかかって、ようやく2両の船積みが完了した。残り4両。1日がかりの作業である。

車両を積み込んだ貨物船は12日間かけて、バンコクから130キロメートル離れたレムチャバン港に向かう。到着後に各種試験を経て、2016年に営業運転を開始する予定だ。

第1弾はシーメンスが上物を受注

バンコクでは、恒常化した交通渋滞の緩和を目的として、都市鉄道の建設が急ピッチで進められている。タイの鉄道事業者バンコクメトロによって10路線が計画されており、まず2004年に全長約20キロメートルの「ブルーライン」が開通した。

この路線は日本の円借款を活用して建設が進められた。土木工事には、大林組や熊谷組など、日系ゼネコンが参加。“上物”と呼ばれる鉄道車両や信号システムについても日系メーカーの採用が期待されたが、残念ながら独シーメンスにさらわれてしまった。

2路線目となるのがパープルラインだ。全長23キロメートル、16駅から成る。今回も円借款事業であり、土木工事は引き続き日系ゼネコンが獲得。上物については外国勢を破って、丸紅・東芝・JR東日本の連合体が受注に成功した。

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