ジャカルタの近郊では1970年代以降、日本製の非冷房車両が長年走っていた。ところが2000年、都営三田線各駅でのホームドア設置に伴い車両更新されるのを機に、同線を走っていた車両6000形72両を無償で譲り受けたことから、急速に近代化が進んだ。
主要路線のジャカルタコタ(Jakartakota)~ボゴール間(約55キロ)は目下、JR東日本から譲り受けた205系がほぼ全列車の運行を担っている。「出身地」を調べてみると、前述の南武線の車両は新参者で、主力は埼京線と横浜線からの譲渡車両となっている。
インドネシアで走るに当たり、JR時代の所属電車区を示す表示は消されているが、文字の痕跡は鮮明に残っており、それなりの「鉄分」がある人なら「ふむふむ、〇〇線を走ってたんだな」と見抜いてしまうことだろう。
車内の雰囲気は日本時代のまま!
205系はジャカルタ近郊を走るに当たり、ホームの高さが低い場所にも対応するためドア下にステップが取り付けられたほか、現地の車番が書き加えられたりしている。また、投石や線路の敷石(バラスト)が前面ガラスに当たるのを防ぐための鉄網が取り付けられているので、正面から見た「顔」はずいぶんと武骨なものとなってしまった。
ところが、特に「鉄ちゃん」でもない日本人がこの電車に乗り込んだら「まるで日本のまま」と思うに違いない。違うところといえば、広告が入っていないことくらいで、モーターやクーラーの音、そして匂いからちょっと昔の通勤電車の風情を感じさせてくれる。
できるだけ日本語の表示を削ったり消したりしようとした努力は認めるが、禁煙のプレートや優先席付近の吊り革に残る「(携帯電話)OFF!」の表示を見て、懐かしさを覚えるのは筆者だけではないだろう。
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