ジャカルタで大活躍の「205系」に乗ってみた 7人掛けの椅子に12人座れてしまう不思議

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ただ、大きく異なるのはこの電車を利用する人々の姿だ。ムスリム(イスラム教徒)の民族衣装に身を包んだ女性が次々と乗ってくる様子と、日本風情が残る車両とのアンバランスさに「異境」を感じずにいられない。

205系はすっかりインドネシアの人々の足として定着したようだ

日本の電車では「座席は譲り合ってお掛けください」といったアナウンスがよく流れている。

一方、インドネシアではそんな案内は一切不要、7人掛けのロングシートに定員以上の乗客が座っていることがザラだからだ。大人がすでに7人座っているのに、子どもが3人座っていて「ああ、ぎっしり座っているなあ」と眺めていたら、さらに男の子を連れたお母さんが(日本人の目には)無理やり入り込んで座ってしまった。

これで大人子ども合わせて12人が着席。でも、誰一人として迷惑がっている人もいなかったので、現地ではこれが普通のことなのだろう。

強制的に立たされる!

そんな状態だから、席に座っていても混んでいるときは決して楽ではない。扉の側に座っていると、ムスリムの女性が被っているヒジャブの裾が幾度も顔や頭に当たるし、立っている子どもは平気で座っている乗客の膝に腰掛けようとする。「いやぁ、困ったなぁ」と思っていたら、途中駅から赤ちゃんを抱いた若い夫婦が乗って来た途端、車内を巡回中の警備員が筆者の足を叩いて「あなたは立ち上がって席を譲れ」と強制的に立たされた。

周りを見回すと、座っているのはほとんどが老人か子ども連れの家族。若者から壮年にかけての男性はよほど車内が空いていない限り、インドネシアの電車では座らせてもらえない。

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