「企画はタイトルが9割」、鈴木おさむが指南 どの業界にも通用する10のルール<後編>

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「賛同者は2割がベスト」というのは、ウケる企画の目安でもありますが、いやらしいことを言うと、その2割のなかに決定権を持っている人がいるのが望ましいですね。

たとえば、僕が今回、新しい企画をまとめた本を出すのも、テレビ業界の人にとっては鼻につくと思うんです。本を読んで「全然新しくねぇよ!」と思うかもしれない。でも、テレビ業界に面白いと思ってくれる人が1000人に1人でもいて、その人が決定権を持っていれば、「これをやろう!」という話になって企画は成立する。それで僕の「勝ち」なんです。

(10)バカになれる人だけが常識を打ち破ることができる

 

僕の今までの経験を振り返ると、これまでにない内容だけど絶対に面白いという企画を出したときには、「難しいよね」という人が8~9割で、「やってみよう!」という人は1~2割しかいません。

これは企画を出す側、採用する側、両方にいえることなんですけど、立場が上になればなるほど、人は守りに入るじゃないですか。でも、危険な橋を渡ることができる人だけが、ホームランを打つというのが僕の実感です。

基本は、行動するか、しないか。中途半端では意味がないので、思い切りが必要です。

1年間、父勉に励む

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僕は、妻の出産を機に父親になるための勉強をしようと思って、昨年の8月から1年間、テレビの放送作家業を休んで「父勉(ちちべん)」中です。これが1カ月とか3カ月では中途半端だったと思います。

会社員だとしたら、有休を2週間使ってひとりで南極に行く人は勇気がありますよね。日本人は有休を使うことすら許されない雰囲気があるから、バカじゃないのって言われるだろうけど、帰ってきたらその人に聞きたい話はたくさんあるでしょう。行く前には怒られても、3カ月も経ったらその怒りは忘れて、「あいつ、南極に行ったらしいよ」というインパクトと本人の経験だけが残っていく。

それが付加価値にもなっていくし、ひとりで南極に行ったことは、企画を考えるだけじゃなくて、絶対にすべての仕事に後々つながると思うんですよ。 

口ではいくらでも好きなことが言えるけど、行動を伴わないのは格好悪い。テレビもそうだけど、これから大きく変化していく世の中で、周りから「バカじゃないの? そんなの無理だよ」と言われる企画を決断して、実行できる人が勝っていくのだと思います。

(取材・構成:川内イオ、撮影:今井康一)

鈴木 おさむ 放送作家

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すずき おさむ

放送作家。テレビの構成をメインに数々のヒット作を手掛ける。エッセイ「ブスの瞳に恋してる」はシリーズ累計60万部。小説では「芸人交換日記~イエローハーツの物語~」(太田出版) 、「美幸」(KADOKAWA)、「名刺ゲーム」(扶桑社)等

 

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