安倍首相の執拗な「野党批判」が意味するもの 「まさか」の衆参同日選に打って出る?
「やはり『和田』という名前では浸透しない。もともと北海道は左派が強い地域性の上、町村後援会も高齢化が進み、十分に機能していないことも原因。見通しが甘かった」と、北海道の自民党関係者は悔しがる。実は和田氏が出馬を表明した時、二階俊博総務会長などから、町村姓への変更を勧められていた。「それを拒んだのは、和田さんの実母が改姓に反対したからだ。和田さんは母親の意向に逆らえなかった」(自民党関係者)。
危機感を抱いた清和会は、応援のために各事務所から秘書を派遣することを伝達。15日には茂木敏充選対委員長、31日には稲田朋美政調会長も応援に入る予定でいる。そして安倍晋三首相も告示後には5区入りすることで日程調整が行われている。
その一方で、野党側はこれぞ好機とばかりにほくそ笑む。
「背中に手がかかるところまで来た」。12日に北海道5区に応援に入った民主党の枝野幸男幹事長はこう述べた。続いて翌13日には岡田克也代表も5区入りしている。「横路孝弘元北海道連会長は、僅差まで迫ると衆参同一選が行われると踏んでいる」と民主党関係者は述べる。野党の眼はすでに次期衆院選に移っている。解散権を握るのは安倍首相だが、思い切ってその伝家の宝刀を抜くことができるのか。
自民党に「手詰まり感」
常識的に考えれば、それは難しい。実は自民党には手詰まり感が漂っている。北海道5区の補選と同時に行われる京都3区では、公認候補すら立てられなかった。自民党京都府連が特定の女性候補名を使って世論調査を行ったが、「当事者がひっくりかえるくらいひどい数字が出た」(自民党関係者)ためだ。
しかしだからこそ、安倍首相は解散に打って出ると多くの永田町関係者は見ている。理由は第2次安倍政権発足以来、安倍首相はなかなか解散を打たずに自民党を下野させた麻生太郎元首相を「反面教師」とし、早期解散を打って議席の多数を占めることで国政でも党内でもリーダーシップを維持してきたからだ。
安倍首相のかつての「師」である小泉純一郎元首相は、「人生には『まさか』という坂がある」と述べたことがある。健康上の理由で一時は総理の座を手放したものの、奇跡の復活を遂げたのも「まさか」なら、2013年の参院選と2014年の衆院選と続いて勝利し、安定した政権運営を行っていることも「まさか」。そして別の「まさか」も今後は十分にありうる。
13日の党大会で長期政権への余裕を装っていたものの、安倍首相が執拗な野党批判の言葉も口にしたことは、この「まさか」を予期してのことなのか。いずれにしろ、政界の空気は徐々に変わりつつある。
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