引っ越し業者の「賢い選び方」が変わり始めた ハトが"御三家"の上に羽ばたいた理由
まず注目したいのは、総合満足度1位に輝いた「ハトのマーク」も、評価項目別でトップだったのは8項目中2項目にとどまり、3位「引越のサカイ」より1項目少なかったということだ。
引越のサカイは「現場スタッフの接客対応」「付加サービス」「作業内容」の3項目で最高点を獲得。一方、ハトのマークが最高点を得たのは「提案プラン」「営業スタッフの接客対応」の2つ。だが、そのほかの「アフターフォロー」「コストパフォーマンス」で2位になるなど、8項目すべてで4位以内をキープした。
これに対し、引越のサカイは「コストパフォーマンス」が6位にとどまり、アリさんマークも会社の信頼性(7位)、アート引越センターは提案プラン(8位)で大きく後塵を拝した。他社と比べバランスよく高評価を得たことが、ハトのマークの勝因といえる。
さらに分析を進めよう。8つの評価項目のうちユーザーの重視度がとりわけ高いのは、コストパフォーマンス(17.82ポイント)と、提案プラン(19.90ポイント)だ。比率は多少上下しても、この傾向は過去5年間変わらない。その重要2項目で、ハトのマークは手堅く2位と1位を占めた。
「一括見積もりサイト」の普及で起こったこと
提案プランは、重視度が年を追うごとに高まり、昨年からは「価格」より重い評価項目となっている。理由について「スマートフォンの普及などに伴い、『一括見積もりサイト』の利用が主流になったから」というのが、引っ越し業者側の見方だ。
ネット見積もりは、大した手間を掛けずに多くの業者の概算料金を比べられるのがユーザー側の利点。けれども業者にしてみれば、電話見積もりなどと異なり、サービスの説明といったアピールトークができない。いわば提示価格だけの「一発勝負」。それだけに、業者側もいきなり高い費用は提示せず、どうしても実際より安めの見積もりが出がちだ。
そこでいざ、業者を絞って訪問見積もりを依頼し、詳細な費用をはじいてもらったところ、金額が跳ね上がってしまう……。こうなればユーザーの落胆は大きいだろう。もし想定予算をオーバーしていれば、検討がふり出しに戻りかねない。
ただでさえ面倒な引っ越しをスムーズに進めたいユーザーの意に沿うならば、ネット見積もりと訪問見積もりの金額を大きく乖離させないことが、イマドキの引っ越し業者にとって必須といえそうだ。実際、こうしたネット見積もりがはらむ課題を重く見た全日本トラック協会は、ユーザーの安心につなげるための「引越事業者優良認定制度(引越安心マーク)」を昨年創設している。