総合職・事務系統の場合、実際の勤務は鉄道の現場ではないことが大半だ。だが、この期間に学んだ現場での体験は、のちの仕事に生きてくるという。
「駅係員としてサービスをする側になると、多くのお客様に質の高いサービスを毎日提供することの難しさを実感できた。サービス向上などの取り組みに関わる場合、こういった経験が役立つ」と、小峰さんは自らの経験を踏まえて語る。
事務系統は2~3年おきのジョブローテーションによってさまざまな業務を経験するが、人事や総務、経営管理などのほか、駅ビルや百貨店などの関連会社への出向や、現業機関の管理者として、乗務員が勤務する「運輸所」や駅の助役、科長として、現場のマネジメントや教育などにあたることもある。駅長になる例もあり、実際に現在、総合職・事務系統で駅長を務めている女性社員もいるという。
リニア新幹線に関わるには?
さまざまな業務を経験するという事務系統だが、特に志望者の注目を集めそうなのは、2027年に品川~名古屋間の開業を目指して工事が進む「リニア中央新幹線」プロジェクトだろう。超電導リニアのプロジェクトというと技術系統の職種が主体というイメージだが、事務系統でも関われるのだろうか。
小峰さんは「技術的な部分は完成の域に達しており、今はちょうど過渡期。これまでは確かに技術系統が多かったが、これから先は事務系統が活躍するフィールドが広がる」という。
リニア中央新幹線プロジェクトを進める主体となっているのは「中央新幹線推進本部」と呼ばれる部署だ。同本部には「企画推進部」「リニア開発本部」「中央新幹線建設部」の3つの部があり、企画推進部では全体の統括や工程管理、建設部では用地の取得などといった分野で事務系統の社員が活躍しているという。
さらに、リニアに関わるのは同本部だけではない。新幹線・在来線と並ぶ大きな柱となるプロジェクトのため、その他の部署でもリニアに関わる仕事は数多くある。たとえば、安定配当を維持しつつ建設を進めるための資金調達を担う財務部、建設に関する資材の調達は管財部など、「ありとあらゆる分野が関わるのがリニア中央新幹線」(小峰さん)だ。
一方、高速鉄道システムの海外展開については、事務系の活躍する場は広がってきているものの、全社規模といえるリニア中央新幹線に比べると関わる人数は少ない。
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