富士ゼロックスが「アイデア公募」を行う理由 将来に向け、イノベーションをどう起こすか?

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こだわったのはテーマ設定。あえて「価値あるコミュニケーションを実現する近未来のソリューション」などと、あいまいなテーマにしたという。

発案者である大川氏(左から2番目)とプロジェクトのメンバー

「近未来の複合機」といった具体的な案もあったが「複写機の概念にとらわれず、より本質的な”価値のあるコミュニケーションとは何か”について考えるものにしたかった」(大川氏)。

審査を経て、最終結果が発表されるのは4月16日だ。優秀な案は社内で製品化の検討が行われるが、製品化のプロセスに提案がどの程度関わっていくかについてはまだ決めておらず、協議した上で柔軟に対応していくという。

今後の成長につなげられるか?

Wemakeのプロジェクトには、優勝した案の製品化を確約しているものも多いが、今回はその方式はとっていない。ただ、実用化に消極的なのかというと、そういうわけではないようだ。

馬場氏は「商品化を前提にすると、アウトプットの形が限定されてしまうから。簡単に作れる商品でなくてもいいし、形がないサービスでもいい。多様なコンセプトを受け入れるために、商品化を前提とはしなかった」と真意を話す。

近年、日本企業では、自社のみで行うことが多かった開発体制を改め、社外の知見を活用する「オープンイノベーション」の動きが広まりつつある。だが、そうした取り組みが企業の成長につながったという事例はあまりみられない。結局は各企業の本気度次第ということだろう。

富士ゼロックスとエイスのプロジェクトはオープンイノベーションの模範となれるのか。成否はまさに、これからの取り組みにかかっている。

渡辺 拓未 東洋経済 記者

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わたなべ たくみ / Takumi Watanabe

1991年生まれ、2010年京都大学経済学部入学。2014年に東洋経済新報社へ入社。2016年4月から証券部で投資雑誌『四季報プロ500』の編集に。精密機械・電子部品担当を経て、現在はゲーム業界を担当。

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