TDKが「儲かるスマホ部品」から離れる理由

「本当に悩ましかった」。上釜社長が語る

上釜社長は就任10年。好調なときこそ強い分野を攻める改革が不可欠だと語る
1月13日、電子部品業界を揺るがす発表が行われた。電子部品大手のTDKとスマホ向け半導体最大手のクアルコムが高周波部品分野で合弁会社を設立することを発表したのだ。TDKは合弁会社の株式の49%を保有する予定で、設立後は高周波部品がTDKの連結から外れる。さらに、TDK保有しているオプションを行使すれば実質的に高周波部品事業を総額約3600億円で売却することになる。
TDKにとって、高周波部品はここ数年間、収益を牽引してきた分野だった。なぜ、それを連結から外してまで合弁会社を作ることにしたのか。上釜健宏社長に聞いた。

好調なときこそ、攻めるしかない

――なぜこのタイミングで合弁会社を設立を決めたのか。

社長を10年やって得た教訓は「構造改革はいい時にやっておいたほうがいい」ということだ。社長に就任してから、コンデンサの競争激化に加えてリーマンショック、東日本大震災、超円高など色々なことが起きた。それで構造改革をはじめたが、どうしても「弱い所をなんとかしよう」という方向になり、社内が萎縮してしまった。

だから、本当は今のような調子がいい時こそ、思い切った構造改革をやらなければいけない。ダメになってからやっても遅すぎる。それも、強いところを思い切って攻めていくところまで含めた改革をやることが必要だ。

――今回合弁を行う高周波部品は、2008年に独エプコス社を1700億円かけて買収することで強化した分野。当時は「社運をかける」と意気込んでいたが、その後の事業運営では苦戦していたように見える。

2008年、TDKはエプコス社を買収。高周波部品は期待の成長軸だった(撮影:尾形文繁)

非常に苦労した。当時、エプコスは部品を組み合わせて売るモジュール分野で強く、ヨーロッパの携帯電話分野で非常にシェアが高かった。

どちらもTDKが苦手としていた分野で、とても良い補完関係にあった。この買収により高周波分野でシェア1位に立ったこともあり、買収後も思い切って設備投資をした。

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