TDKが「儲かるスマホ部品」から離れる理由 「本当に悩ましかった」。上釜社長が語る
好調なときこそ、攻めるしかない
――なぜこのタイミングで合弁会社を設立を決めたのか。
社長を10年やって得た教訓は「構造改革はいい時にやっておいたほうがいい」ということだ。社長に就任してから、コンデンサの競争激化に加えてリーマンショック、東日本大震災、超円高など色々なことが起きた。それで構造改革をはじめたが、どうしても「弱い所をなんとかしよう」という方向になり、社内が萎縮してしまった。
だから、本当は今のような調子がいい時こそ、思い切った構造改革をやらなければいけない。ダメになってからやっても遅すぎる。それも、強いところを思い切って攻めていくところまで含めた改革をやることが必要だ。
――今回合弁を行う高周波部品は、2008年に独エプコス社を1700億円かけて買収することで強化した分野。当時は「社運をかける」と意気込んでいたが、その後の事業運営では苦戦していたように見える。
非常に苦労した。当時、エプコスは部品を組み合わせて売るモジュール分野で強く、ヨーロッパの携帯電話分野で非常にシェアが高かった。
どちらもTDKが苦手としていた分野で、とても良い補完関係にあった。この買収により高周波分野でシェア1位に立ったこともあり、買収後も思い切って設備投資をした。
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