TDKが「儲かるスマホ部品」から離れる理由 「本当に悩ましかった」。上釜社長が語る

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ほかにもクアルコムにはセンサーやMEMS(微少電子機械システム)などの多様な技術を持っている。自動車や工場で使われる自動運送車、ロボットなど、さまざまな分野でシナジーを発揮できるのではないか。クアルコムとはこれからさらに深い話をしていきたい。

――今後も事業構成を変えていくのか。

事業を売る方、買う方の両面で考えている。スマホ依存度を下げて、車や産業機器の比率を上げていく。

強化したいのはセンサー分野だ。特に、HDDヘッド事業で培った磁気センサーを伸ばしていく。ウェアラブル機器、IoT、ロボットなど、将来を期待されている分野はいくつもあるが、結局どの分野もセンサーが重要だ。

気になるバトンタッチの時期は?

自動車もそう。たとえば、車が電装化されるにつれて各分野にモーターが使われる。するとそこには位置や角度の制御にセンサーが必要になるといった具合だ。さらに、通信部品と違って分野ごとに異なる種類のセンサーを使うため、センサーだけである程度事業ポートフォリオを組める。それによって、環境変化に強い事業を作ることができる。

かみがま・たけひろ●1981年東京電気化学工業(現TDK入社)。記録デバイス事業本部技術戦略部長などを経て2006年から現職

昨年12月には車載センサーのミクロナスセミコンダクタホールディングAGの買収も発表した。5年後には車載の磁気センサーで2000億円、センサー全体で7000億円規模のビジネスにしていきたい。

――経営のバトンタッチについてはどう考えているか。

なかなかキリの良いタイミングがない。業績が良いうちに次に引き継ぎたい一方、何件も買収を行ったので、このタイミングで渡すのも無責任に思われる。

ただ、あえてキリが良いタイミングを考えるなら、2018年3月期に目標としている営業利益率10%、ROE10%を達成できたときかもしれない。そうしたところを見据えつつ、色々悩んでいる段階だ。

                        (撮影:今井康一)

週刊東洋経済2月13日号「この人に聞く」に加筆)

渡辺 拓未 東洋経済 記者

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わたなべ たくみ / Takumi Watanabe

1991年生まれ、2010年京都大学経済学部入学。2014年に東洋経済新報社へ入社。2016年4月から証券部で投資雑誌『四季報プロ500』の編集に。精密機械・電子部品担当を経て、現在はゲーム業界を担当。

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