富士ゼロックスが「アイデア公募」を行う理由 将来に向け、イノベーションをどう起こすか?
コミュニティの投票で案を絞り込み、その後、事業化に向けたコンセプトの改善などを実施。最終的に、最優秀賞1点には50万円、優秀賞2点には20万円の賞金が支払われ、事業化が検討される。
ほかにも、投稿者以外の参加者には目利き賞、パートナー賞として商品券が配られる。現在は最終選考に進む5~10案を絞り込んでいる最中だ。
なぜ、富士ゼロックスはアイデアの募集を開始したのか。その背景にあるのは商品企画の閉塞感だ。主力事業である複写機の市場は成熟化が進みつつある上に、IT技術を使ったペーパーレス化も叫ばれている。長期的な成長を考えれば、従来の延長線上にない、新しいアイデアが必要だった。
部門横断プロジェクトに応募
だが、「企業は1年ごとの業績で評価される。商品開発も今日、明日、今年の業績を勝ち取ることに目が行ってしまっていた」(商品開発本部の馬場基文氏)。ユーザーの声を聞いて商品開発に生かす活動も行ってはいたが、すでに富士ゼロックスの製品を使っているユーザーから、新しいアイデアが寄せられることはほとんどなかった。
そんな中、ふとしたきっかけで、商品開発本部の大川陽介氏がエイスのメンバーと出会う。「デザイナーや消費者と協力することで新しい商品を作る」というエイスの事業コンセプトを聞き、すぐに意気投合した。
そこで、大川氏はエイスとの共同企画を有志プロジェクトとして立ち上げることにした。富士ゼロックスには、現業以外でのテーマについて部門を横断した新しいプロジェクトを有志で立ち上げる「バーチャルハリウッド活動」と呼ばれる仕組みがある。自由に企画を作ることができる風土が、プロジェクト立ち上げの助けとなった。
アイデア募集のプロジェクトについて、「周囲の反対はまったくなかった。むしろ、さまざまな部署の人が興味を示し、集まってくれた」(大川氏)という。規模はすぐに拡大し、10部門から40人ほどが集う大型プロジェクトになった。
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