スズキがインドで独走、市場シェア6割に接近
「今期はいいスタートが切れた。あとはモンスーン。ちゃんと雨が降ってくれれば全体が潤う」。スズキのインド4輪子会社マルチスズキの中西眞三社長が心配するのは目下、天候くらいのものだ。インド自動車市場で首位のスズキは今、再びその勢力を強めている。
去年はそうはいかなかった。インドの新車販売は過去5年平均で17%ペースの高成長を続けたが、年初の金融危機による株価暴落で消費意欲に陰りが出た。さらにインフレに伴い金利が急騰したため、ローン頼みの車商売にはたまらない。7月に販売減へ転落。リーマンショック後は民間銀行がローン組成そのものを絞り込む事態も起こり、2008年度の全体市場は横ばい、マルチスズキの販売も1.5%増に終わった。
幸い、「インド政府の対応は素早かった」(中西社長)。政策金利を急激に引き下げた結果、一時は15%にまでハネ上がった自動車ローン金利も8~11%程度に落ち着いた。
さらに昨年末は物品税が引き下げられた。段階的に減税されてきた小型車(全長4メートル以下、排気量1.2リットル未満)に至っては、本来の24%が再引き下げで8%にまで下がり、破格の優遇を受けることになった。
年明け2月から市場は復調し、1~6月は2.6%増。A2セグメントと呼ばれる市場の8割を占めるハッチバックの小型車には、政府の刺激策がガツンと効いた。
一番乗りで回復したのがスズキだ。店頭販売は昨年末から戻り始め、1~6月は11%増。近年5割で安定していたシェアは瞬間的に58%へ急上昇し、6月も54%と高水準が続く。
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