スズキがインドで独走、市場シェア6割に接近 

世界最安車ナノよりも日系メーカーが攻勢

マルチ800やアルトなど経年化したモデルが中心だったマルチスズキも、05年以降はスイフト、ゼン、SX4、スイフトディザイアと1年1種のペースで新車を投入、これが当たっている。今年5月にはリッツ(日本名スプラッシュ)を発売。リッツはスイフトをベースに、新環境基準に適合したK型エンジンを搭載。乗降が楽なよう車高を高くした。「ワゴンRの兄貴分みたいな車。狙いどおり若い30代のファミリー層が買ってくれている」(中西社長)。食い合いが心配されたスイフトも4~6月で9%増と気を吐いている。

月間1万台を突破した輸出もマルチスズキの背中を押す。今年1月に欧州へ出荷を始めた「Aスター」が、現地の景気刺激策とルピー安にぴたりとはまった。

この調子ならマルチスズキの年間販売は90万台を突破する計算になる。実に前年比14%増。現地生産能力は100万台だからフル生産に近い。世界がいまだ4割もの過剰生産能力にあえぐのとは対照的だ。

同じ国で商売をしていても、現地最大手のタタは一向に元気がない。ジャガーなどの買収が響き前期は赤字に転落。一時期は部品会社への支払いが遅延するなど経営不安説も流れた。工場移転騒動などで遅れに遅れた世界最安車ナノ(11万ルピー=約22万円から)がようやく発売されたものの、初期出荷はわずかに10万台。購入者を抽選で募ったところまではいいが、「予約用紙が1枚300ルピー(約590円)もするうえ、前金を最低7万ルピー支払わなくてはならない。自社の資金繰り優先の発想が見え隠れする。国民車を作るという高潔な理想はどうした」(地場メーカー幹部)と失望の声も上がる。

熱い争いはむしろ日系メーカー間で起きている。ホンダは昨秋にセダンのシティを刷新し、6月には世界的車種フィット(現地名ジャズ)を投入した。「シティの好調でうちのSX4は落ちちゃった。現場にハッパをかけている」(中西社長)とマルチスズキも気持ちを引き締める。

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