ダイバーシティ経営・パネルディスカッション--多様な価値観の尊重・活用で、仕事と企業を変える

ブックマーク

記事をマイページに保存
できます。
無料会員登録はこちら
はこちら

印刷ページの表示はログインが必要です。

無料会員登録はこちら

はこちら

縮小

司会 では、審査委員の先生からは次回(来年)の応募に向けてPRの一言をそれぞれいただきたいと思います。

足達 これまでのダイバーシティの問題というのは会社の中の問題が中心でしたが、実は「クラスの中で、お宅のお子さん、ちょっとほかのお子さんと違って、困るんですよね」と学校から先生に呼び出されるなんてことが平気で起こっている、この日本の教育界であるとか、世の中に対してダイバーシティを実践された企業が今度どう働きかけができるのか。多様性とそれをさらに包括するような働きかけとして、企業は社会に対して何ができるのかということを、ぜひ私は考えていただきたいと思う。

企業だけがダイバーシティを進めても、この世の中はよくなりません。CSRという言葉がそうであるように、社会からの期待に企業が応えると同時に、企業から社会に働きかけができる。ダイバーシティという脈絡ではたして何ができるだろうかということを考えていただくのが、日本企業の次のダイバーシティというテーマに関する課題です。一見、社会貢献活動と見まがうようなものだけれども、実は社会のダイバーシティをこれだけ改善しようとしているという取り組みが、もっともっと企業の側から出てくることを期待したいと思います。

海野 私は普段、CSRを全般的に推進するアドバイス等を行っていますが、日本の企業は国内でだけ取り組んでもだめだという視点をその基本に持っています。女性を日本の中でどう生かすかという課題も国際化している。日本の企業はどんどん海外に進出しており、今後もこの潮流が続く。しかも、進出先として中国やインドをはじめとする途上国のウエートが増しています。そういう中でどうやっていくかということが一番課題だと思います。いま足達さんから、「ダイバーシティを会社の中の問題としてだけ考えていてはいけない」というお話がありましたが、ダイバーシティというのはまた国内だけで完結するものでもないのです。

男の人同士だと、「そんなこと、みんなわかってるよ」といって質問しないのを、あえて「どうなってるんですか」と投げかけてみるようなことをして、「あ、そうだな」と理解と受容を広げ、深めていく。そんな社会を国内に限らず作っていくことが重要です。

来年(次回)、多くの企業に応募していただけるといいなと思っております。

須田 私はビジネススクールで教えておりまして、1学年100人の学生さんのほとんどは自費でいらしている社会人の方です。日本を代表する企業の方が多いのですが、個々の方に話を聞いてみると、いままで「男性は」ということで十把ひとからげに言ってしまっていますけれども、非常にダイバーシファイされていると感じます。現在の働き方はもういやだという男性はたくさんいるし、こういったビジネススクールに来て、ほかの会社あるいは起業した人と会って、そういった中でもう一度キャリアを考え直す。あるいは自分の会社にいて「これが普通」と思っていたが、意外や意外、まったく違う世界がたくさんあるということを実感する。そんな中で一人ひとりの考え方といったものが変わっていきます。

100人いたら100人それぞれの価値観や生き方があり、一人の人の中でもその価値観や生き方は10年前、5年前といまとでは違う。そういった非常に多様な人材を本当にいかせる、そして人材育成が図れるような企業になっていただきたいと思っています。ですから、ダイバーシティの一層の推進を大いに期待しております。

関連記事
トピックボードAD
キャリア・教育の人気記事