最終的に勝つ人の「絶対に負けない技術」 孫子の兵法から学ぶ「4つのルール」

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・負けないルール1:勝算が高い状態で、戦う

孫子は、「算多きは勝ち、算少なきは勝たず。況んや算無きに於いてをや」と言いました。戦う以前に勝算が多かった方が勝ち、勝算が少なかった方は負ける、そもそも勝算がないようでは話にもならないというのが孫子の考え方です。そして、準備段階、作戦段階で勝てるかどうかはわかるだろうと言うのです。事前に勝算を高めるために準備を万全にする。これが負けないために重要なことです。出たところ勝負で、何とかなるだろうという考え方ではダメなのです。

孫子は、「勝兵は先ず勝ちて而る後に戦いを求め、敗兵は先ず戦いて而る後に勝を求む」とも言っています。勝つ方は先に勝つという見通しがたってから戦い、一方、負ける方は戦いを始めてからどうやったら勝てるかを考えているのだというのです。

表ではつねに平静を保ち、内面は奥深く

・負けないルール2:何を考えているかわからない立ち位置で待て

野望や野心を表に出し、強気で攻めて行くのが、勇猛でカッコいいように感じますが、それで負けては元も子もないし、目立てば必ず敵を作るものです。時が来るまで、野心を見せずじっと待つことが重要、と感じたことのある人は少なくないのではないでしょうか。

孫子は、「将軍の事は、静かにして以て幽く 、正しくして以て治まる」と教えてくれています。将たる者は、表ではつねに平静を保ちつつ、内面の思考は周囲からうかがい知れないほど奥深い。だから何事につけ公正で的確な判断ができ、うまく組織を動かせるというわけです。ペラペラと軽口で、余計なことまで喋ってしまっていては、口は災いの元と笑われることになってしまいます。周囲の人から、あの人は何を考えているのかうかがい知れないが、結果としてあの人の言うことが正しいと気づくと言われるくらいでなければなりません。

そして、孫子の有名な一節。

孫子曰く、「始めは処女の如くにして、敵人、戸を開くや、後は脱兎の如くす。」

しおらしく控えめにしておいて、相手を油断させ、チャンスと見たら脱兎のごとく動くのです。エネルギーを溜め、敵の隙を伺い、いざという時に一気に動く。まずは、おとなしく待つのが肝要なのです。

・負けないルール3:自分だけで頑張らず優秀な人を動かす

どんなに優秀な人でも、世の中のあらゆることを自分ひとりで把握し、理解することはできないでしょう。世界中を飛び交う情報をすべて把握することもできません。しかし、負けないためには世の流れ、世界の情勢、敵の動きをつかんでおく必要があります。

孫子は、諜報活動(インテリジェンス)を重視しました。孫子13篇の中には「用間篇」という、間諜(スパイ)をどう使うかを解説した篇があるほどです。そこで孫子は、「惟だ明主・賢将のみ、能く上智を以て間者と為して、必ず大功を成す」ものだと言いました。

優れた国王や将軍だけが、優秀な人間を間諜として動かし、大成功を収めるものだと孫子は言うのです。自分ひとりだけが頑張り、能力を高めるのでは足りないのです。いかに優秀な他人を集め、使うことができるか。負けないためには人の助けを借り、人の持つ情報をうまく取り込むことが重要なのです。

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