ナルミヤ・インターナショナル岩本一仁社長に聞く「百貨店依存型」から「百貨店主体型」へ改革加速
「このブランドはさきほどの『キャラクター型ブランド依存からの脱却』を狙ったものです。『アナ スイ・ミニ』の顧客分析をしてみると、今までナルミヤを利用したことがなかった『非ナルミヤユーザー』が7割もいました。ナルミヤを一番熱烈に支持してくれるお母さんの支持層は平成バブルを経験した層で、今は40代になっています。彼女たちは、一世を風靡したナルミヤのキャラクターブランドを好んで買ってくれました。しかし今の30代の女性は個性的であり、ブームに乗りやすいということもなく、服を上手にセレクトして購入されます。こうした30代の女性を取り切れていなかったのが当社の売り上げ減の大きな要因となっている、という仮説を立てましたが、この仮説は正しかったと言えそうです」
--しかし「百貨店販路依存からの脱却」とは矛盾するのではありませんか。
「いえ、矛盾しません。新たな顧客を獲得できているわけですからね。しかし、確かに百貨店販路には違い有りません。そこでやはり『攻めの経営』の一つとして、SC(ショッピングセンター)向けの新ブランド『Lovetoxic(ラブトキシック、造語で『恋に夢中』の意味)』を4月に立ち上げました」
--百貨店依存脱却と価格戦略再構築にあたるわけですね。
「そうです。実はSC向けでは『ポールフランク』というブランドを先行させたのですが、当初できあがった商品は、百貨店顧客を相手にするような『優等生的』なつくりでした。また価格も『百貨店ほど高くないが、SCより高い』と中途半端でした。現在は修正中です。こうした『ポールフランク』の教訓も踏まえ、『ラブトキシック』では投入に当たって商品と価格を考え抜きました。特に価格は百貨店で販売している他ブランドの価格に比べれば約半額程度です。もちろん、百貨店と同じ品質というわけではありません」
「幸い、第2号店の『ららぽーと豊洲店』(東京・江東区、上写真)では開店前に750人が並び、1日の売り上げが223万円となるなど好調なスタートが切れました。現在は豊洲を含め3店、秋には関西にも出店します。この秋以降はもう少しトレンド性を高めるなどMD(商品政策)を見直し、価格ももう少し下げるなど、どんどん進化させていきたいと考えています。結果としてブランドの粗利益率は下がりますが、市場に合った価格体系にしていくことのほうがより重要です」