ナルミヤ・インターナショナル岩本一仁社長に聞く「百貨店依存型」から「百貨店主体型」へ改革加速
--どんな改革をしているのですか。
「従来はブランドごとに運営管理を行ってきたため、会社全体は1つ1つの『小部屋』の店が集積し、それぞれが別々のブランドショップのように運営されていました。簡単にいえば人員は『ブランド数×店舗数』の分だけ必要でした。しかし、こうした運営手法は売る側の論理でできた体制です。お客様にとってはストレスがかかります。ブランドに根強いファンがついているのがナルミヤの強みですが、例えば、同じ百貨店の中にジュニア層を対象とした複数のナルミヤのブランドが入っているのに、見比べようとすると、お客様は離れた別の売り場にいき、別の店員と話さなければなりません。百貨店の強みの一つは、顧客の囲い込みと、丁寧な接客を通じて顧客にブランドの価値をしっかりと伝えられることです。このこと自体は大切ですが、販売手法では改善余地があるということです」
「そこで、複数のブランドを『大部屋化』、つまり一つの売り場に集約しています。そうすれば、一人の販売員が複数のブランドを担当することになります。不採算ブランドの撤退も進めているため、人員の適正規模は従来よりも少なくなります。人員は07年1月末当時、約1400名の正社員を主体に、契約社員などを含めると2200名を超えていました。しかし、前09年1月期末は1800人弱、この11月には約1300名程度になります。店舗も860店まで削減しました。人員削減は本当につらいものですが、改革にはやむをえません。一連の構造改革で損益分岐点は、08年1月期の245億円から、10年1月期末には170億円にまで下がる予定です。こうした一連の経費構造改革を『守りの経営』としています」
--まずは縮小均衡路線をとり、黒字化を目指すと言うことですか?
「いいえ、そうではありません。一方で『攻めの経営』もしています。今年2月には伊勢丹新宿店に新ブランド『ANNA SUImini(アナ スイ・ミニ)』を出店しました。『アナ スイ・ミニ』は百貨店向けのブランドです。主なターゲットは30代のお母さんとそのお子様です。20歳前後を対象とする『アナ スイ』は米国から日本に進出した1997年、爆発的なヒットを飛ばしました。その当時20歳前後で『アナ スイ』の大ファンだった女性に『母から目線』で子供服を購入してもらおうというわけです。現在すでに10店舗、今期中には最大あと5店舗、最終的にはこのブランドの価値が保てる水準の20店舗体制にまで拡大予定です」