いっさい妥協しないモノ作りの姿勢が共通する両社。改めて共通点をそれぞれに問うと、こう答えが返ってきた。「無印が創業当時から大切にしている『アンチテーゼ』という志」(良品計画の池内さん)。「ポピュラリティを意識しながら尖った商品を提案しているところ」(バルミューダの阿部さん)。消費者としては、志が相通ずる両社の第2弾が楽しみだが、「惰性での協業はしない。本当に必要な時があればコラボする」とのことだ。
止まらない「モノ作り、大好き!」
本体は、3万9000円(税込)、交換目安1年とされる別売りのフィルターは6800円(税込)。DCモーターなので省エネだが、初期投資とメンテに少々お金がかかる印象か。それでも国内外ともにニーズは強い。
現在、日本を含め8カ国で展開しており、2015年度下期の売り上げは、中国が日本を超えたという。今年に入りヨーロッパと台湾、香港でも販売を始めたが、特に「40㎡で3人暮らしが一般的」と居住空間の狭い香港で好調な売れ行きとなっているそうだ。
無印がオリジナル家電に本格参入したのは、2000年に深澤直人氏と作った「壁掛式CDプレーヤー」からだ。深澤氏はその後、同社のアドバイザリーボードとなり、「中国が台頭し大手家電メーカーが苦しい中、誰がいい家電を作るのか。シンプルで高機能な家電を無印がそろそろやらなくてはいけないのでは?」と提案。これを機に、無印は2014年春のキッチン家電の発表から、改めて「生活シーンになじむ単機能・高性能」家電に注力し始めた。
この4月には、「DC扇風機」を発売予定。「秋には、無印ここまでやったか! と思っていただけるようなキッチン家電もデビューしますよ。これ、自分も早く欲しいんです」と、池内さんは、とてもうれしそうに話す。
取材中、商品や開発の話を熱く語ってくださった池内さん。「デュアルカウンターファンは、航空機や魚雷にも採用された技術でして……」「無印のサーキュレーターって世界一ですよ。完全なメイドインジャパンで、作っている人がまたすごいんですが……」。
もう1本記事が書けそうなほど面白いお話をたくさん披露してくださったのだが、その様子からは、モノ作りが心底お好きだということがひしひしと伝わってきた。ちなみに、池内さんは、週に一度「ハンドメイドDAY」を設けているそう。取材当日にお持ちだった素敵な革の名刺入れもミシンで縫った自作品だった。まさに、根っからの「モノ作り人」。この連載の取材でいつも感じることだが、改めてこう思う。
「こういう人に作ってもらえる『モノ』たちも、とっても幸せなんだろうなあ」。
(撮影:今井康一)
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