気になるのは「ジェットクリーニングモード」がうるさいというユーザーの声が多いこと。確かに音は大きかった。しかし、掃除機と同時使用すると効果的らしいので、その時だけと割り切れば、他の運転モードは静かだし許容範囲なのではないだろうか。
2つのファンで周囲360°から空気を吸い込み、中のフィルターでろ過したキレイな空気を上から送り出すという基本構造は、バルミューダの空気清浄機「AirEngine」と同じだが、パーツはすべて新規設計だ。
ファンは、「USBデスクファン」という無印の卓上ファンにも搭載した「デュアルカウンターファン」を採用。2枚の羽を逆回転させて効率よく風を送る技術である。また、バルミューダでは酵素フィルターを使ったのに対し、無印では消臭効果のある活性炭フィルターと集塵フィルターを一体化した「360°集塵脱臭フィルター」を採用した。
こうした専用設計により、花粉(30μm)やPM2.5(2.5μm)を始め、ウイルス(0.1μm)などの微細な粒子もしっかり除去してくれるそう。筆者は数日しか使用していないので長期的な健康効果などはわからないが、夫の二日酔いによる悪臭はしっかり消えたことはお伝えしておこう。
唯一バルミューダの製品と共通するのは、「ジェットクリーニングモード」ボタンの飛行機アイコンだ。寺尾社長は当初反対したそうだが、「共同開発の証として使いたい」と、無印の開発チームが熱心に直談判し、採用を認めてもらったものだという。
無印とバルミューダの共通点
「社長も社長なら、社員も社員だな。これを見せられたら作るしかない」。トップ会談後の初めての開発担当者会議で、寺尾社長はこう言ったそうだ。無印の開発担当者が見せたのは、1枚のA4用紙。そこには、ほぼ最終形に近いデザイン案が描かれていた。「共同開発が決まってすぐ、バルミューダの空気清浄機を開発チーム6名全員が自宅に持ち帰り、使い倒した。この技術で何ができるのかを徹底的に考えデザインしたのです」(池内さん)。
細部まで詰めたデザイン案を見せられ、改めて無印の意気込みを感じたバルミューダ側もさらに士気がアップ。わずか1年でほぼこのデザイン案どおりの製品が完成した。といっても、決して開発がスムーズだったわけではない。
「担当者は、省スペース化を図りながら性能を出すことに苦労したそうです。また、騒音と振動を抑えるバランス調整も手作業で、非常に細かな配慮を要するため試行錯誤したようです」と、バルミューダ広報の阿部洋さんは明かす。池内さんも「安全性、性能、デザインの両立をするため、細部にわたり苦労した」と、振り返る。たとえば、子どもの指が上部の隙間から羽にあたらないよう安全性にこだわったそうで、設計者とデザイナーが何度も検討し、見た目も機能も損なわないような形で指ガードフィンを実現したという。
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