鉄道社員のキャリアは、「駅係員」から始まる 「赤い電車」の京急に鉄道会社の仕事を聞いた

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さらに、運転や駅といった現場だけでなく、これらとは別の部署に配属されることもあるなど、道はさまざまだ。例えば飯島さんは、駅係員から車掌などを経て現在の広報課勤務になったという。同社は「他の鉄道会社に比べると、乗務員に登用されたあと他の仕事に移るまでのスパンは比較的早いと思う」(飯島さん)という。

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かつては「男の職場」のイメージが強かった鉄道の現場だが、現在は女性の駅係員や乗務員も多い

以前は「男の職場」のイメージが強かった鉄道の現場だが、今では女性の駅係員や乗務員も珍しくなくなった。京急ステーションサービスは現在約800人の社員がいるが、このうち100人ほどが女性だ。例年の採用数はおおむね50~60人程度で、2015年入社は65人。内訳は高卒52人・専門学校卒5人・大卒8人で、女性は11人となっている。

「鉄ちゃん」も鉄道マンになれる?

鉄道に興味のある人なら一度は考えるであろう「鉄道員」への道。だが、世間で「都市伝説」のようによく語られるのが「鉄道ファンは鉄道会社に入れない」という噂だ。では、実際のところはどうなのだろうか?

市橋さんの答えは「鉄道の現場なので、鉄道が好きであればそれに越したことはない。関心があればさまざまな業務に興味も湧くので、少なくとも好きでマイナスになることはない」。実際に、鉄道が好きでこの仕事に就いたという人は多く、「多くの場合は鉄道に携わりたいか、サービス業としてお客様と接するという仕事に魅力を感じているかのどちらか」だという。自らも鉄道ファンの飯島さんは「鉄道ファンであっても、逆に特に興味がなくても、何より仕事に関心が高く前向きに取り組む姿勢があることが一番大切」と話す。

ただ、当然ながら「鉄道に関わりたいだけで、接客はしたくないというようなことでは務まらない」(市橋さん)。鉄道の現場は運輸業であると同時に、特に駅係員は乗客に関わる最前線としてサービス精神が求められるほか、勤務時間の面も含め体力も必要だ。

特に、近年は「お客様が駅係員などに求めるものも変わってきている」といい、サービス業としての意識が強く求められるようになっている。市橋さんは鉄道マンを志す人に求められる資質について「まずは基本として、元気があって挨拶ができること」、京急ステーションサービス旅客サービス部の小林総主任は「お客様の前では常に明るくいられること」を挙げる。

ここでは京急電鉄の例を取り上げたが、鉄道各社は「プロフェッショナル職」や「エキスパート職」といった名前で駅係員や乗務員などをはじめとする現業職の採用を行っている。

鉄道は「いろいろな仕事の人がまとまって、一つのチームとして動かしている」(飯島さん)。人々の生活を支える輸送の現場を最前線で動かす仕事は「昔からの憧れ」だった人はもちろん、サービス業に関心のある人にも魅力ある仕事といえそうだ。

小佐野 景寿 東洋経済 記者

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おさの かげとし / Kagetoshi Osano

1978年生まれ。地方紙記者を経て2013年に独立。「小佐野カゲトシ」のペンネームで国内の鉄道計画や海外の鉄道事情をテーマに取材・執筆。2015年11月から東洋経済新報社記者。

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