私が幼少のころ(約30〜40年前)、超電導磁気浮上式鉄道、いわゆるリニアモーターカーの実験線が宮崎県にあり、パソコンのマウスのような形をした物体が高速で走行していた。
しかし、鉄道や列車というよりも「理科の実験」のような感覚で、営業運転することなど夢物語のように思えていた。なにしろ東海道・山陽新幹線の最高時速は210㎞、東京から新大阪までの所要時間は3時間10分程度、列車名は「ひかり」と「こだま」だけだった時代のことである。
その超電導磁気浮上式鉄道による営業運転が中央新幹線の東京〜名古屋間でまず具体化しつつある。2027年、あとわずか11年程度で、車両が地面から浮上して超高速走行する画期的な鉄道が開業する。
この中央新幹線をとりまく法律について、まずは全国新幹線鉄道整備法(以下「全幹法」)、大深度地下の公共的使用に関する特別措置法(以下「大深度法」)の関連で述べてみたい。
「浮上式鉄道」は鉄道だが・・・
まず前提として、超電導磁気浮上式の交通機関が鉄道といえるのかという根本的な問題がある。
この点、鉄道事業法施行規則第4条第7号では「浮上式鉄道」が法律上鉄道とされているものの、これが規定された際には、「概ね時速60㎞以下の速度で走行する常電導吸引型磁気浮上式・リニアインダクションモータ推進式」の浮上式鉄道に限定されていたようである。
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