中央リニア新幹線は法律上の「鉄道」なのか

超高速、大深度トンネル…鉄道の「大転換点」

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「常電導吸引型磁気浮上・リニアインダクションモーター推進方式の浮上式鉄道」である「リニモ」(愛知高速交通東部丘陵線、写真:BASICO/PIXTA)

特殊鉄道の施設や車両の構造を定める特殊鉄道構造規則においても、「浮上式鉄道」については「常電導吸引型磁気浮上・リニアインダクションモーター推進方式の浮上式鉄道」を前提とした規定となっていることから、最高時速500㎞超で速度も性質も異なる超電導磁気浮上式鉄道は鉄道事業法施行規則第4条第7号にいう「浮上式鉄道」には直ちに当てはまらないようにも思われる。

ただ、その場合でも、同条第8号には「1号から7号までの普通鉄道等以外の鉄道も鉄道とする」という、結局は全て含むかのような規定があるので、超電導磁気浮上式鉄道もこの規定によって鉄道とすることは可能であろう。

また、今後技術がさらに確立すれば、鉄道事業法施行規則にいう「浮上式鉄道」に含まれるような改正もあり得るかもしれない。

時速200km以上なら「新幹線」

時速200㎞以上の高速度で走行できる幹線鉄道は新幹線鉄道とされ、その建設等の認可は全幹法による(同法第2条)。中央新幹線も例外ではない。

全幹法の目的は、

「高速輸送体系の形成が国土の総合的かつ普遍的開発に果たす役割の重要性にかんがみ、新幹線鉄道による全国的な鉄道網の整備を図り、もつて国民経済の発展及び国民生活領域の拡大並びに地域の振興に資すること」にあり(同法第1条)、新幹線鉄道の路線は、「全国的な幹線鉄道網を形成するに足るものであるとともに、全国の中核都市を有機的かつ効率的に連結するものであつて、第1条の目的を達成しうるもの」

 

と定義されている(同法3条)。

最高時速505㎞で運転され、東海道新幹線のバイパス的存在の中央新幹線は、「全国的な幹線鉄道網を形成する」鉄道であり、代表的中核都市の東京、名古屋、大阪を有機的・効率的に連結する鉄道である。国民経済の発展、国民生活領域の拡大と地域振興に資することは疑いなく、全幹法の趣旨にそった鉄道であることは言うまでもない。

中央新幹線はもともと1973(昭和48)年に基本計画が決定されていた。その後2011(平成23)年5月の整備計画で走行方式を超電導磁気浮上式、最高時速505㎞とすることが決定されたが、法令上走行方式を超電導磁気浮上式とすることは鉄道として問題ない。最高時速も法令で上限が定められているわけではないから、最高時速505㎞とすることにも全幹法上なんら問題はない。

ところで、最近開業した北海道新幹線や北陸新幹線、九州新幹線はいわゆる「整備新幹線」と呼ばれる。一方で中央新幹線は、整備新幹線と同様に全幹法に則った手続きによるものの整備新幹線には当たらない。整備新幹線も中央新幹線も全幹法に則って計画されたものだが、中央新幹線は整備新幹線に含まれないのである。

整備新幹線とは、全幹法に基づき、1972(昭和47)年に基本計画が、1973(昭和48)年に整備計画が作成された新幹線のことである。北海道、東北(盛岡―青森)、北陸、九州(福岡―鹿児島、福岡―鹿児島)の各新幹線がそれにあたる。

それ以前に計画が存在していた東海道・山陽・東北(東京―盛岡)、上越、成田の各新幹線は整備新幹線ではなく、それ以後に新幹線整備計画の前提となる基本計画線として決定された中央新幹線も整備新幹線には当たらない。

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