「スイカ」は、法律の上では乗車券じゃない? 切符と同じと思ったら大間違い!

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「スイカ」や「パスモ」など、日常的に「乗車券」として利用する「ICカード乗車券」。実は切符などとは違う法律が適用されることを知っていますか?(写真 :y_seki / PIXTA)

「Suica(スイカ)」や「Pasmo(パスモ)」に代表されるICカード乗車券の普及に伴い、かつて一世を風靡した磁気式プリペイドカードが役割を終えつつあります。その代表格JRの「イオカード」は2005年3月31日、「オレンジカード」は2013年3月31日で発売が終了しました。民鉄系で発売されていた「パスネット」も2015年3月31日で利用が停止され、2018年1月31日で払い戻しも終了するということになっています。

磁気式プリペイドカードは乗車券購入時に小銭をジャラジャラする煩雑さを解消してくれ、「イオカード」に至っては乗車券を買う手間すら省けることから、私もこれら磁気式プリペイドカードはよく利用しました。また、実用的な面以上に、色々なデザインのカードが次々に出てくるのが楽しみのひとつでもありました。

電子マネーの普及で新法が誕生

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磁気式プリペイドカードの発売・利用停止に伴い、鉄道各社ではカード残額の払戻作業が行われています。払戻告知のポスターは毎日なんとなく目に入りますが、その中で最近、「資金決済に関する法律(以下「資金決済法」といいます)第20条に基づき返金をする」と書かれたポスターを見つけました。われわれ法律家でも普段目にすることの少ない法律なので、少しのぞいてみましょう。

法律は第1条で「目的」を定めていることがよくあります。資金決済法でも第1条「目的」とあり、「この法律は、資金決済に関するサービスの適切な実施を確保し、その利用者等を保護するとともに、当該サービスの提供の促進を図るため、前払式支払手段の発行、銀行等以外の者が行う為替取引及び銀行等の間で生じた為替取引に係る債権債務の清算について、登録そのほかの必要な措置を講じ、もって資金決済システムの安全性、効率性及び利便性の向上に資することを目的とする。」とあります。

世の中では日常的に各所でおカネのやり取りがされていますが、おカネの決済手段としてプリペイド式決済サービス、電子マネー、収納代行サービス、宅配業における代引業務など、昔は考えられなかった決済サービスが急速に普及しています。それに対応して、「前払式支払手段」の発行などにあたって、利用者やサービスの適正確保などを強化することを目的に、それまでの前払式証票規制法の後継として資金決済法が2010年4月1日に施行されました。

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