27年開業なるか?リニアの行く手阻む最難関 全長25㎞の「南アルプストンネル」が着工
2027年の開業を目指す「リニア中央新幹線」。品川〜名古屋間約286kmのうち、工事の最難関といわれている南アルプストンネルの工事が2015年12月18日、山梨県側の「山梨工区」で始まった。
標高3000m級の山々が連なる南アルプスを貫き、山梨、静岡、長野の3県にまたがる全長約25kmの長大トンネルは単に長さだけでなく、土かぶり(地表面からトンネルまでの深さ)も1000m以上に達する難工事だ。
「難しい工事ですから水や地層の問題はいろいろあると思いますが、遅れることは考えておりません」。同日行われた安全祈願の式典に出席したJR東海の柘植康英社長は、報道陣からの質問に強い口調でそう答えた。
難工事が予想されるこのトンネルから本線の本格工事が始まったのは、南アルプストンネルの工事の行方がまさに、今後のリニア建設全体のカギを握る区間だからだ。
全線のうち86%がトンネル
リニア中央新幹線は品川駅を起点に、神奈川県相模原市、山梨県甲府市、長野県飯田市、岐阜県中津川市に設けられる中間駅を経て、名古屋駅に至る全長約286kmを結ぶ路線。開業後は最高時速505kmの超電導リニアが全線を最速40分で結ぶ予定だ。建設実施計画が認可された2014年10月時点での総工費は5兆5235億円で、全額をJR東海が自己負担で賄う。
全線のうち約86%にあたる246kmはトンネル。その中でも山岳トンネルとして最も長いのが全長約25kmの南アルプストンネルだ。今回着工した山梨工区の長さは約7.7km。工事を手がけるのは大成建設・佐藤工業・錢高組のJV(共同企業体)で、工期はJR東海とJVが契約を結んだ2015年8月27日から、2025年10月31日までの約10年間、122カ月だ。
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