前田新造・資生堂社長--おもてなしの心を伝承しアジアで圧倒的な地位に
接客方法の指導でも日本のベテラン美容部員を募って、百貨店や内陸部の専門店に行ってもらい、従業員や当社の中国の美容部員をOJTで徹底的に訓練する。そのポイントはやはり、おもてなしにある。商品の指し示し方や持ち方などにもこだわり、ひと味もふた味も違う応対の心を伝承していきたい。
--日本流のノウハウや伝統をそのまま中国でも生かしていくと。
P&Gやロレアルとはまったく違うやり方だが、それが資生堂のレゾンデートルでもあるし、将来伸びていくための必要な要素だ。こうしたオリジナリティを大事にしていく。
--厳しい経営環境下で、社員や幹部が心掛けるべきことは。
いかにピンチをチャンスに変えることができるか、だ。この先ずっと、景気が回復しないということではなく、必ずどこかでまたフォローの風が吹いてくる。そのときにどれだけ伸びることができるかが成長の大きなポイント。今はそのための基礎体力をしっかりと身に付けておく好機だと考えている。
よく竹に例えて話をするのだが、竹は堅い節を作り、気候がよくなるとグンと伸び、そしてまた節を作ってと繰り返すことで、風雪にも耐える強くしなやかな竹となる。われわれも今、ちょうど「節」を作っているときだと認識している。
(鈴木雅幸、倉沢美左 撮影:尾形文繁 =週刊東洋経済)
まえだ・しんぞう
慶應義塾大学卒、1970年資生堂入社。化粧品事業戦略本部推販部長などを経て、2003年1月経営企画室長、6月に取締役執行役員。05年6月から現職。
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