前田新造・資生堂社長--おもてなしの心を伝承しアジアで圧倒的な地位に

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--とはいえ、こういう状況下では消費者は安くても価値のあるものに流れていきます。販売拠点としてドラッグストアやコンビニなどの存在が大きくなると思いますが、こういう環境変化への対応は。

かつては専門店が8割以上を占めていたが、今は当社の国内化粧品売り上げもドラッグストアが圧倒的。そういう購買行動に対応したチャネル政策と、それに伴うブランド政策をリンケージさせてやっている。

今、六つあるメガブランドの大半が(美容部員を介さない)セルフ商品。典型的な「インテグレート」はその都度、主要アイテムを刷新しているし、「アクアレーベル」も今秋全面的にリニューアルをする。単なる商品の改良ではなく、環境的な配慮も含めて抜本的に手を入れていく。そのうえでこの値段に見合うだけの価値があるということを、顧客に認めてもらえる内容にしたい。

ユニクロさんも、価格が安いだけでなく、新しい価値をどんどん商品に込めて商売しているから、強いポジションにつながっている。たとえばカラフルなジーンズをわっと出したり、新たな機能を持った繊維を開発して冬を快適に乗り切ることを提案したり。そういうことが資生堂の商品においても必要になるだろう。

--10年後の資生堂の姿として、売上高1兆円超、海外売上高比率5割超(前期末時点38%)という目標を掲げています。国内市場がシュリンクする中で、海外でどのように戦っていくお考えですか。

昨年、08年度からの3カ年計画を組むときに、一緒に今後10年の長期計画を組んだ。最終的には、日本をオリジンとした、アジアを代表するグローバルプレーヤーを目指すという目標を定めた。その初年度に極めて厳しい状況に陥ったが、考え方やゴールを変えるつもりは毛頭ない。あくまで、当初の計画に向かって進んでいく考えだ。

そのためには、ブランド政策や店頭から価値を高める諸活動を通じて、ピカピカに輝き続けるように国内で磨きをかけないといけない。同時に重要なことは、アジアで圧倒的なプレゼンスを獲得することだ。

中でもボリュームゾーンを占め、成長のシンボルとなるのは中国。04年以降4年間にわたり、中国では毎年対前年で30%以上の成長を遂げてきた。昨年も非常に厳しい環境下ながら、前年比20%以上の実績を残すという底力がある。中国自体の経済成長に主因があるのだろうが、われわれも経済成長をキャッチアップできる能力を身に付けつつある。今後3年間も平均して毎年20%の成長はしていけるだろう。

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