前田新造・資生堂社長--おもてなしの心を伝承しアジアで圧倒的な地位に

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137年の歴史に培われた独自システムを海外に導入

--しかし、中国には外資系など競合も数多く進出しています。彼らに対抗できる資生堂の強みとは。

最大の強みは、137年の歴史の中で培ってきたビジネスモデルだろう。資生堂は80年ほど前から「ボランタリー・チェーン・システム」を日本で展開して業界をリードしてきた。そのシステムを中国にも導入している。大型外資といえども、ほかのメーカーがこれをパッとまねることは難しいだろう。

このシステムは、ただ商品を小売店に並べてくださいというのではない。商品が魅力的に見えるにはどんな売り場づくりが必要か、どのようなカウンセリングをすれば顧客に満足していただけるのか、そのための教育をどうすればいいのか、さらには、経営ノウハウの蓄積手法まで、あらゆるアプローチから専門店を支援するシステムだ。これを続けることで、中国にも根付いていくことができると確信している。

顧客に接するときも、資生堂が培ってきたおもてなしの心で徹底して接客していただく。もちろん商品や広告も、細部にわたってこだわりを持って行う。そのうえで、肌だけではなくて心まで美しく、元気になってもらえるようなサービスを提供する。こうしたコアバリューこそ資生堂の揺るぎない価値といえる。

--中国では内陸部に専門店網を広げていますが、発展著しい沿海部と比べてリスクはないですか。

内陸部はまだまだ伸びる余地がある。国家統計局の推計によると、2010年には約1・2億人が化粧人口になり、20年には3億~4億人に膨らむ見込みだ。日本はこれだけ化粧品を使っている国だが、化粧人口は最大で5000万人強。中国はその6培も潜在的な市場性があるわけだから、今後が計り知れない。

現在、中国には専門店が3500店、中国専門の「ピュアマイルド」を扱う店が500店ある。合計4000店というのは、出店スピードが遅いと指摘されるかもしれないが、われわれとしては猛烈なエネルギーを使って増やしてきている。毎年700店規模で増えているのだから。

専門店はつねに募集している。しかし、10件応募があっても実際一緒にやれるのは1件。それぐらい厳しい審査をして将来、お互いに繁栄していけるお店を探している。資生堂と商売をすれば儲かる、資生堂のやり方を踏襲すればもっと大きくなれる、と理解してもらえるお店を探して、きちっと支援ができるということを前提にして審査している。

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