塾業界に地殻変動! 公立中高一貫校の急増で地域密着がカギに
公立中高一貫校の急増、そして足元の景気悪化が、塾業界の勢力図に大きな変化をもたらそうとしている。
昔から教育への関心の高い住民が多いといわれる東京・多摩地域を地盤に、塾生を増やしているのが、学究社(本社・新宿区)が展開する小・中・高校生向け学習塾「ena(エナ)」。その原動力となっているのが、公立中高一貫校対策講座だ。河端真一・学究社社長は語る。
「多摩地域の公立中高一貫校合格者数は弊社の独壇場。ただ、これは弊社の努力というよりは、この地域に住民の信頼に足る公立中高一貫校が次々と開校したことが理由。人口400万人に6校が集中するのは全国的にみても希有。まさに公立中高一貫校のモデル地域と呼べる状態だ」
同社は、そもそも国立市発祥の「国立学院」として、地元ではよく知られた学習塾。桐朋や早稲田実業など地元私立中をはじめ、地元難関都立高校の合格実績も高い。
「国立市などもともと『公立秀才』が多く、私立中学受験にそんなに意味があるのかという意識が強かった。とはいえ、ゆとり教育の影響などもあり地元公立中は忌避する傾向が強まり、やむなく電車で都心の私学に通学する生徒も多かった。大学進学実績で信頼できそうな公立中高一貫校ができれば、多くの住民が飛びつくのは当然」(河端氏)。
ena好調の原因は、地元を大切にしてきたことにあるという。予想問題集や夏期講習における志望校対策を都立立川国際中等教育学校と都立武蔵高等学校附属中学校に絞り込むことで、2校への高い合格実績を挙げることができた。